盆休みにて 2

涼音すずねちゃん、そろそろ機嫌直してもいいんじゃないの?」

「別に、いつも通りだと思うんだけど」


 そう言って不貞腐れ、床で寝ている涼音に、困った風に声をかけるのは涼音の母だ。


 歳は取っているものの若々しく、子供の頃から持っていた可愛さは消えておらず、さすがは涼音の母というところだ。


 涼音も親の実家に帰省しており、涼香と離れ離れになっている。


涼香りょうかちゃんがいない状況はいつも通りじゃないんだけどな」

「もおおおおおおおおおおおおお!」


 母の意地悪な言葉に、不満を露わにする涼音。


「今朝別れたばかりだよ?」

「別に大丈夫ですー!」


 先輩に会いたい、その言葉をなかなか言うことができない涼音である。


 言ったところで涼香に会えるという訳ではないのだが、この気持ちは叫ばなくては治まらない。でも叫ぶことはできない。


 ここで涼音は強引に話を変えることにする。


「父さんは?」

「お父さんは色々手伝ってるよ」

「手伝わないの?」

「涼音ちゃんも行く?」


 なにを手伝っているのか知らないが気を紛らわせるため、仕方ないなと起き上がる涼音であった。

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