夏休み編 8月

夢の中にて 10

 夢の中にて。


「さて、今日の夢はなにかしら!」


 涼音すずねの部屋の入り口に立っていた涼香りょうか。間違いなく部屋に入れば涼音がいるだろう。


 早速、ドアを開けて涼音の部屋に入る。


「来たわよ!」


 いつも通り入ると、座っていた涼音が顔を上げる。そして涼香の姿を認めるとパッと顔を輝かせる。


「涼香ちゃん!」


 座ったその状態から、ロケットが発射するように飛び込んでくる涼音。


 それをなんとか受け止めた涼香は叫ぶ。


「可愛いわ‼」


 どの涼音も可愛いのだが、夢の中涼音は素直で可愛いのだ。


 寝ても起きても可愛い涼音がいる。これ程幸せなことはない。


「涼香ちゃんこっち来て」


 涼音が涼香に座るよう促す。素直に座った涼香に抱きつく涼音。


「涼香ちゃんあったかい」

「可愛いわね」

「えへへ」

「可愛いわ‼ なんて可愛さなのかしら! 可愛すぎて可愛いわ‼」


 もはや語彙が可愛いしかない涼香であった。

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