屋内型複合レジャー施設にて 8
「ほら、涼音達はいなくなったわよ。正直になりなさい」
「はあ?」
「あのね、私は知っているのよ。あなたがカワウソ好きだって」
「………………」
そういえば、涼香からコツメカワウソの写真が送られてきた時があった。
「あとアルパカも好きでしょう?」
「……うっざ」
涼香の言う通りなため、耳を赤くして悪態をつくことしかできない。
だが、
彩はクレーンゲームが得意な方では無い。ていうかそもそも一定の金額を入れなければ取れないクレーンゲームなどやりたくない。
カワウソのぬいぐるみは欲しいが、それなら水族館へ買いに行けば済む話だ。
「私はクレーンゲームが得意なの」
「さっきも聞いた」
「あー、ぬいぐるみが欲しいわねー」
そう言って涼香がクレーンゲームを始める。
涼香は、ぬいぐるみを上手い具合に回転させ、四回のプレイで見事カワウソのぬいぐるみを獲得した。
「ほら、得意と言ったでしょう?」
ぬいぐるみを取り出し、したり顔で言う涼香である。
「でも、困ったわね……大きすぎて持てないわ」
白々しく辺りを見渡す涼香。
「あら、
「うっざ」
と言いつつも、素直に受け取る彩。
「金返す」
ここの大きなクレーンゲームは、一回二百円なのだが、五百円入れたら三回できるのだ。
だから、かかった金額は七百円。彩はぬいぐるみを脇に挟み、財布からかかった金額をとりだそうとする。
「私からのプレゼントよ。ありがたく受け取りなさい」
いつの間にか、景品を入れる袋を持ってきていた。お金を受け取るつもりは無いらしい。
受け取ったぬいぐるみをその袋に入れ、肩からかける。
「借りができた――と言いたいけど、まああたしには貰う権利あるよな」
普段の涼香の行いと迷惑度合いなら、ぬいぐるみを貰っても足りない。
でも、プレゼントと言われると悪い気はしない。
「あらあら、赤くなって可愛いではないの」
「うっざい!」
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