夏休みのお出かけ編 2

車の中にて 5

涼音すずねが意地悪言ってくるのよ。私の水風船は危なくて使えないって」

「当たり前じゃないですか。受け取った瞬間爆発しそうですもん」

「ちょっと待って」


 ある日のこと、なぜか涼香りょうかに呼び出された菜々美ななみ


「なんで私が車出してるのかしら⁉」


 今日はこれからここねとデートのはずだったのだが、ここねを迎えに行く前に呼び出された。


 まあここねとのデートのには間に合うから全然いいのだが。


「いいではないの」

「いやいいんだけど‼」


 どうせここねの家へ迎えに行っても、緊張でなかなか近づけないからいいのだけど。


「運賃取ってもいい?」

「そういわれると思いまして――これですね」


 そろそろそういわれてると思って、予めクッキーを作っていた涼音である。


「涼音の作ったクッキーの価値はお金では換算できないわよ!」

「えっ⁉ いいの? 嬉しいわね」


 顔は真正面を睨みながら、弾んだ声を出す菜々美。


芹沢せりざわ先輩の分もあります」


 涼音の作るお菓子は美味しいとここねも言っていた。自分の分とここねの分も貰えるとは、運賃にしては高すぎるぐらいだ。


 涼音は小さな袋で簡単にラッピングされているクッキーを紙袋の中に入れて助手席に置く。


「という訳で、送ってもらうわよ」

「まかせなさい!」


 断る理由は無い、二人を乗せて車が走る。


「それで、どこへ向かえばいいのかしら?」

「「………………」」

「どうしてよ‼」

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