家電量販店にて 2

 そんなこんなで家電量販店にやって来た涼音すずね夏美なつみ


 とりあえず歩道橋から入れる入口、二階から中へ入った。


 入るとすぐに、時計やブランド品などが出迎える。しかしここに用は無い。


 他にもカメラや理美容品なども置いてあるが必要は無い。


「やっぱり凄いねえ」


 視界を埋め尽くす品々に、夏美は楽しそうに言う。


「なに、見るの? 別にいいけど」

「ううん、大丈夫。檜山ひやまさんに付いていくよ」

「あっそ。じゃあ上」


 そう言った涼音がエスカレーターへと向かう。


 そして四階まで来た。


 四階は家電が置いてある。


 別に買う訳ではないが、家電を見ながら色々と考えるのは楽しい。


 四階を宛もなくぶらぶら歩く。


 途中、動いている洗濯機を見つけて覗き込む。


 蓋の部分が透明になっており、どう動いているのかが分かるようになっている。


「……なんか、楽しいね」

「うん、分かる」


 洗濯機は現代では身近な物なのに、どういう風に動いているのかを見る機会は殆ど無い。ドラム式ならまだしも、縦型なら、中身を見ることは基本的には無い。


「実際に見るとちょっと感動する」

「分かる」


 落ち着いた会話、これが涼香りょうかなら、「ここにそうめんを入れたら、とんでもない流しそうめんができるのではないのかしら?」などと言うだろう。


 こうやって落ち着いて家電を見るのも悪くない。

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