水原家の台所にて 3

 早速クリームシチューを作ろうと、台所にやってきた涼香りょうか


「本当に大丈夫なんですかあ?」


 手伝えないのならせめて見守ろうと、共にやってきた涼音すずねが言う。


「大丈夫よ」


 微笑んだ涼香は、そのまま涼音に向かってキリッとした表情を向ける。


「お姉ちゃん三分クッキングよ!」

「誰がお姉ちゃんですか」

「まずは材料よ!」

「あ、はい」


 涼音のツッコミは届かず、涼香は冷蔵庫から食材類を取り出す。


「じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。そして鶏肉よ!」


 でん! と食材を紹介する涼香。


「わーオーソドックスー」

「私は裸足よ?」

「靴下の種類じゃないです」

「そして、今回一番重要な物、それはルウよ!」


 髪の毛を払った涼音がその重要な物であるクリームシチューのルウを紹介する。


 その隣にいる涼音は、髪の毛邪魔になるだろうなあ、と涼香の髪の毛を邪魔になら

ないように後ろで纏めてあげる。


「作り方は単純、全て炒めてから水を入れて沸騰、食材が柔らかくなればルウを入れて牛乳を入れる。よ!」


 この単純さなら涼香でも大丈夫だろうが、問題は食材を切る工程と、今回は生肉も使うのだ、下手に扱って食中毒になってしまうと大変だ。


「それでは、調理開始よ!」


 その合図とともに、涼音は更に気を引き締めるのだった。

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