第2話 現代その2

私は先日聞かせて貰った「見てるだけ」の話を小説サイトへアップする前に、自分のブログに載せた。


小説風では無く、ただ、聞いた話をそのまま載せた。


これに関連する情報が欲しかったからだ。


中々、これに関する情報は無かったので、SNSで呟いてみた。


するとある女性からDMが来る。


見てるだけって話じゃないんですけど、聞いているだけって話なら…。


私は彼女に連絡を取った。


彼女は静岡県の掛川に実家のある女子大生で、今は通学の為に都内の足立区に住んでいる。


彼女はメールでお話をと言ったが、メールのやり取りよりも、会って話を聞きたい旨を告げる。


それなら、自分のいとこも連れて行く、その娘が「聞いているだけ」を体験した娘だからと言った。



謝礼代わりにとふたりに居酒屋で食事をご馳走する約束を取り付ける。


彼女達の指定した居酒屋は、個室があり、そこで話を聞くことにした。



彼女達は、カナとミクと名乗り、高校時代の同級生でいとこだと言った。


ミクは大人しく見えたがカナは活発でDMをくれたのもカナであった。



最初にその声を聞いたのは、放課後の教室だったの…。



サワーを飲み、料理が揃うと今までの雑談から、カナが話を始めた。



私とミクともう一人、仲良しの三人で放課後、おしゃべりをしていたんだ。


夕暮れになって、もう一人の、ユイって娘なんだけど、ユイが怖い話をしようと言ったの…。


ミクは怖いからやめようと言ったけど、私はのって、やろうとユイに言ったわ。


まず、ユイが怖い話を話して、私がその後、話したんだけど、ミクが、青ざめてやめよう、帰ろうと言うから…そうだよね?ミク…。


うん、肩が重くなって震えが来てたよ。


ミクが口を開いた…。


私は自分では霊感があるとは思って無かったんですが、何故かその日、ユイが怖い話しようと言った瞬間から嫌な気がして、ユイの話もカナの話も覚えて無いくらい気持ちが、何かに怯えていました。


カナがまた話し出す。


そんでね、ミクが青い顔をしてるし、こんな怖い話をしてると霊が寄ってくるかもと言って、やめようとなったんだ。


みんなで、帰ろう、帰ろうって言った後、低い女の声で「そうだね…もう、帰りな…」って聞こえたの…。


私達3人はきゃーって叫んでカバンを掴み、慌てて帰ったわ。



でもね、私は気づいていたんです。


ミクが話す。


あの女の声は、紛れもなく女性の声だったんですけどそれはユイの声ではなくて、でもその声はユイの口から発していたんです。


私は気づかなったんだけど、後からミクに聞いてびっくりしたよ。


カナが口を挟んだ。


何故ってその晩、ユイが自殺しちゃったから…。


それからなんです…。


たまに頭に囁やく声が聞こえて来るんです。


「聞いてるだけ…聞いてるだけ…今はね…」


って…。


私には聞こえて来ないんだけど、ミクから話を聞くと震えたよ。


でも、二人して進学先が決まってこっちに出て来る前は、聞こえなくなったんだって…そうだよね?ミク…。


うん、受験勉強をしていた時は聞こえて来なかったの。


だから、声の事は忘れていたわ。


カナは埼玉の大学で私は横浜の大学に決まった。


カナは足立区にアパートを借りて、私は横浜の保土ケ谷にアパートを借りました。


大学には歩いて行ける距離のアパートに住む様になってから、また、聞こえてくるようになりました。


「聞いてるだけ…聞いてるだけ…やっとたどり着けたよ…聞いてるだけ…今はね…」


いつもじゃないんてすが、大学の行き帰りとか、バイトの帰り道とかで聞こえてきます。


はい、アパートの部屋の中でも聞こえてくる時がありますよ。


でも声が聞こえてくるだけであとは特に変わった事が無いんで、慣れてきました。


いや、聞こえてくる時は今でも怖いですよ。


だって霊?だか、得体のしれない声が頭の中で今でも時折、囁やくんですから…。




私は彼女達とラインの交換をし、また、話を聞かせてくださいと彼女達を見送った。


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