猫小話

水室二人

少し不思議な出来事と思い込む

 先日の出来事です。

 家には、猫がいます。

 名前はたまも。

 ごく普通の猫さんです。


 仕事に行く時は、猫部屋に入れておきます。

 脱走防止のため、仕方ない事です。

 出かける気配を感じると、逃げる時もありますが、たいてい大人しく部屋に入ります。

 おやつや、玩具で気を引く時もあるけど、毎日楽しいです。


 この日は、いつもより抵抗が激しかったです。

 おやつは駄目。いつもじゃれつく玩具でも気を引けない。

 逃げて、逃げて、逃げ続ける。

 最終的に、袋小路に追い詰めて、捕まえました。

 一旦捕獲したら大人しくなり、部屋でおやつを食べ始めました。

 普段と違う行動。

 ここ数日見ているアニメの影響で、変な思考になっていました。

 これは、たまもが自分を心配して、わざと逃げたに違いない。

 外出すると、事故に遭う可能性があるので、引き止めるために逃げたに違いないと、おバカな事を考えていました。


 日中、車の運転中にこの事を思い出しました。

 丁度、事故多発地帯と言うか、危険な場所でした。

 このタイミングで思い出したのは、猫が危険を教えてくれたに違いない。

 さすが、我が猫と思いました。

 実際、何事もなく普通に通過しましたよ。


 あり得ない妄想を楽しみました。

 猫は、飼い主の危険を察知して外出を妨害した。

 気まぐれで、可愛すぎる猫です。

 あり得ない事ですが、いい夢を見させてもらいました。

 それでも、用心のため、いつもより減速して走りました。

 危険地帯を通り抜け、大通りに差し掛かった時でした。

 こちらの信号は青。普通に直進です。警戒はしていませんでした。

 ですが次の瞬間、信号無視した車が通過していきました。

 見通しの悪い場所で、向こうは大きな道。結構な速度で通り過ぎました。

 一瞬、思考が硬直。

 先ほど、減速していなかったらと思うと、ゾッとします。

 これは、猫のおかげだったのでしょうか?

 タイミング的に、色々と考えてしまいます。


 家に帰り、猫を愛でます。

 お前のおかげで助かったと思いながら、おやつをあげます。

 猫は何も言いません。

 ただ、この出来事。

 おやつ欲しさに猫が仕組んだ可能性を、捨てきれない気もします。


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