第9話
【西条ステーブル産の馬が新馬戦で敗れたんだが】
01 名前:三度の飯よりDHO
こんなことある? 今まで新馬戦で負けたことなかったんだけど
02 名前:廃業寸前調教師
相手も西条産だったんじゃねえの?
03 名前:三度の飯よりDHO
雅ファームっていう、聞いたことも無い牧場
04 名前:三倍満ジョッキー
展開もあるでしょ。強い馬でも負けるのが競馬
05 名前:三度の飯よりDHO
6馬身差では展開負けって呼べない気がする。ちな、ジョナサン産駒
06 名前:廃業寸前調教師
ファッ!? ヤバスギ
07 名前:三倍満ジョッキー
ジョナサン? 聞いたことないかも
08 名前:廃業寸前調教師
ステイヤー系種牡馬だけど、使ってる人あまりいないマイナー血統
09 名前:三度の飯よりDHO
一頭だけレベルが違った。8万Gで買ったんだけどな
10 名前:バケンカス
そのレース買ってた。ポイントごっそり消えたけど
11 名前:三度の飯よりDHO
>>10 負けてて草
12 名前:バケンカス
ゴール前でやけに喜んでるやつがいたな。そいつの馬か?
13 名前:三倍満ジョッキー
絶対新規プレイヤーじゃん
14 名前:廃業寸前調教師
ちな、なんて馬?
15 名前:三度の飯よりDHO
>>13 ミヤビエンジェル
16 名前:バケンカス
次のレース、要チェックや!!
◇◇◇
「ありがとう麗華! 最高のレースだ!」
レースを終え、柏原厩舎に戻ってきた麗華の手を取り、お礼を伝えた。
「フフ、喜んでもらえて良かったよ。それにしてもミヤビエンジェルの加速、びっくりしたよ。危うく置いて行かれそうなくらいだったもん」
「新馬戦を勝てたから、次は重賞を目指すよー。10月のGⅡドノティス2歳ステークスに登録するね」
「おう、今日はそれで最後にするか?」
すでに時刻は12時半を回っている。俺はまだまだいけるが、一応女子には気を遣っておく。
「そうだね……11時までは2歳戦に登録できるし、朝一でドノティス・ビオラ賞に出走するってことで」
「了解」
「30分後のドノティス2歳ステークスに登録したから、早く行ったほうがいいかも。深夜だけど、重賞レースは競馬場が混みやすいからね」
愛子から聞いたが、夜9時前後のGⅠレースが最も混みあうらしい。バイト終わりのこの時間が一番良いかもな。
「麗華、位置取りは新馬戦と同じくらいの位置で頼むね。ペースによっては前につけてみても良いかも」
「まかせといて! これからミヤビエンジェルの連勝街道をスタートさせて見せるよ!」
そうして、麗華は一足先に競馬場に向かっていった。
「私たちも行こうか」
「おう、良い席を確保したいな」
特等席で勝利を見届けたかったので俺と愛子も、早めにドノティス競馬場に向かうことにした。
ドノティス競馬場にはインドの世界遺産、タージ・マハルをモチーフとしたようなスタンドが建設されていた。
こういう面白い競馬場が出来るのはゲームならではだよな。
「意外と人で溢れてるな……」
「これならまだ空いてる方かな。多分、明日のドノティス・ビオラ賞はもっとごちゃごちゃになるはずだよ」
え、ゲームの中なのに人に揉まれないといけないの? みんな暇なの?
「ゴール板前、埋まってなければいいけどな……」
そうして俺は座席を確保するために赤い色の機械に向かった。
ほとんど埋まっていたが、隣り合う2席が空いている場所があったので俺と愛子はそこで観戦することにした。
観客席に向かうと、そこそこ人で溢れている。前から3列はほぼ満員だった。
「これ、ほとんど馬券買ってる人だろ? 2000人以上いるんじゃないか?」
「みんなギャンブルが好きなのかもね。雅君も明日のGⅠくらいは買っても良いんじゃない? 初期ポイントで1000ポイントくらい入ってるはずだよ?」
「そうだな。じゃあ明日買い方を教えてくれ」
そんなことを話しつつ、俺と愛子はゴール板前の最後方の席に着いた。
周りはほぼ満員になっていたが、所々出走馬の関係者もいるようだった。
「ドキドキするな……」
「ミヤビエンジェルは……え? 8番人気?」
「あれ? 意外と期待されてないのか?」
「……ああ、9月の2歳重賞に出走した馬が多いみたい。そっちが経験豊富って判断されてるのかもね」
出走表を見てみると、1~2戦重賞を走った馬が7頭いた。
ちなみにもうすぐ違うレースが始まるみたいなので、ミヤビエンジェルのパドックはまだ見れない。
その後、行われたレースを観戦し、ようやくドノティス2歳ステークスのパドックが見れるようになった。
「あ、タピオスカルって新馬戦の時の馬だっけ?」
「だね。未勝利戦は大差で勝利してここに登録してきたみたいだね。深夜帯だと抽選も通りやすいのかな……」
「抽選ってなんだ?」
「こういう重賞レースはみんな出たいでしょ? でも、全部の馬を出すわけにはいかないから、賞金の低い馬は抽選で出走できるか決まるんだよね」
出走できる頭数が決まってるからそういうシステムがあるのか。
「エンジェルはその心配はないのか?」
「これに負けちゃうと下のクラスで戦うことになると思うけど、その心配はいらないよ。勝てない相手じゃないだろうし」
愛子は自信満々だった。まあ、あれだけ強い走りをしてくれたんだし、愛子の言う通り心配はいらないか。
「よし、そろそろ出走だよ!」
「エンジェルの力の見せ所だな」
初めての重賞レースに、俺は年甲斐もなくワクワクしていた。
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