第7話 運命の日
定期テストが終わってから1週間、今日はテストの返却と学年順位が発表される。
テストの点数は過去最高だったが、松見さんがどのくらい取ったかわからないので、
今、めちゃくちゃ緊張している。
「あら、五十嵐さん」
学年順位が張り出される場所で、松海さんに話しかけられた。
「どうでしたか、今回のテストは」
「松海さん、今回は過去一の出来です」
「そうですか、それでも負けませんよ」
先生たちが、順位の書かれている紙を張り出す。
そして結果は、
「1位五十嵐 勉792点」
「2位松海 香奈790点」
「五十嵐さんおめでとうございます。僅差で負けてしまいましたが、次は負けませんよ」
松海さんは少し悔しそうな顔をする。
「あぁ、次も負けません、松海さん」
その後みんなに見られていたが、そんなのも気にせず。すぐにトイレの個室に入って、
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
叫んだ。人生で一番叫んだ。
こんなに叫ぶんだったら、個室に入った意味はなかったと思ったがそんなことよりも、
勝てた。どこかで諦めかけてたが松海さんに勝つことができた。
勝てた。本当に嬉しい。だけど、これで終わりじゃない、ここで気を抜いたら次のテストで松海さんにまた取り返されてしまう。これをキープできるように次に向けて勉強しよう。
トイレから出て教室に戻ったが、優樹に、
「おめでとう、勉。ところで、トイレで叫んだのめちゃくちゃ聞こえてたからな」
「それ、マジで言ってる?」
「マジマジ、クソほど聞こえたわ」
「マジで、やべぇ、恥っず」
みんなからの視線が痛いが、これは自業自得なのでしょうがない。
僕を見る視線が1位をとったからなのか、さっき叫んだからなのか、どっちかわからないが、今日は一日中見られていた気がする。
風呂に入ってさぁ寝るかと思っていたら、
スマホが震え、ディスプレイにLINEの文字がうつし出された。
(松海)今日はおめでとうございます。今、お時間大丈夫ですか? 21:56
(五十嵐)もう寝ようとしてたところなので、大丈夫です 21:57
(松海)すみません、もう寝ようとしていたんですね。じゃあ明日でもいいですか? 21:57
(五十嵐)いや、大丈夫です 21:57
(松海)すみません、あの、今週の土曜日の夜でもよろしいですか? 21:58
(五十嵐)何がです? 21:59
(松海)もう、忘れたんですか、家でご飯食べるって誘ってたじゃないですか 22:01
(五十嵐)すみません、今週の土曜日ですね。わかりました。大丈夫です 22:01
テストのことが嬉しすぎてそのことをすっかり忘れてしまっていた。
(松海)じゃあ、土曜日、よろしくお願いします 22:02
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