第5話 マジか

次の日学校に行くと、松海さんの周りにはものすごい人だかりができていた。


「五十嵐と一緒に帰ったんですか」


「松海さん、五十嵐と付き合ってるって本当ですか」


「何で五十嵐なんかですか」


「五十嵐よりももっといい奴がいますよ」


まさかの話題は僕と松海さんの関係だったらしい、どうりで教室に入った瞬間めちゃくちゃ見られたわけだ。一回一緒に帰っただけでここまで騒がられるのか。松海さんの人気さを改めて実感した。


「五十嵐、お前松海さんと付き合ってるのか?」


矛先が僕に向かってきた。どうしよう。

傘を間違えて返しに家まで行って、家に入ったなんて言ったら、どうなるんだろう。絶対に彼氏だと思われる。そうなったら、絶対に男子たちに殺される。すでに視線が痛いもん。


「あ、あの、えっと、そのー、んーと、僕と松海さんの関係はですね」


「なんだよ、ごちゃごちゃ言ってないで早くいえよ」


「あ、あの」


松海さんが言いかけたそのとき


「お前ら席につけ、朝のSHR始めるぞ」


先生が教室に入ってきた。

誰かと一緒に帰っただけでここまで騒がれるのか、ましてやその相手が男だからなぁ、そりゃ騒がれるか。すごい他人行儀だが俺も関わってるんだよなぁ。松海さんはいつもこんな大変なのか。ここまでくると人気者って大変なんだなぁ。


「明日からは予定の通り、定期テストです。みなさん進路に向けて頑張ってください」


そうだそれよりも、定期テストだ。今度こそ松海さんに勝つんだ。

昼休みになっても、松海さんの周りには僕との関係を聞いてくる人がたくさんいた。

進路につながる大事な定期テストの話があったが、大丈夫なのだろうか。

松海さんはみんなに、


「五十嵐さんとは家が近くだったことがわかって一緒に帰っただけです。決して彼氏というわけではありません」と言っていた。


みんなはそれを聞いて特に男子達は安心していたが、中にはまだ納得していない人が多そうだ。

明日のテストに向けて、今日は昼休みが終わったら下校となっている。

明日に向けて最後の追い込みをするつもりだったが、


(松海)今日帰りどこか寄りませんか 12:37


松海さんから突然LINEが来た。 


(五十嵐)いや、でも明日テストなので、ちょっと 12:38


(松海)一緒に勉強しましょうよ 12:40


(五十嵐)誰かに見られたりしたらまた質問攻めになっちゃいますよ 12:41


(松海)そうですね。五十嵐さんに迷惑をかけたくありませんし、

じゃあ家はどうですか 12:43


(五十嵐)ま、また家ですか 12:43


(松海)家でしたら誰かに見られる心配もないので 12:44


(松海)家の場所は覚えてますよね。別々に帰って私の家集合ということで 12:45


(五十嵐)勉強するならいいんですけど、本当にお邪魔してもいいんですか 12:45


(松海)はい、大丈夫です 12:46


(五十嵐)ならいいんですけど 12:46


まさか2日連続で松海さんの家に行くなんて、何でそんなに僕のことを構うんだろう。

待てよ、松海さんの家に行くということは、渚咲さんがいるということ。

やばい、汗かいてきた。やっぱり断ろうかな。

心の中を読まれたように松海さんからLINEがくる。


(松海)お姉ちゃんがいるからって、こないのはダメですからね 12:49

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