コンビニで傘を間違えた

マキマキ(更新停止中)

第1話 やっちまった…

やっちまった。まさか傘を間違えるなんて、

定期テストまであと1週間を切ったところ僕は買いだめをしておいたはずのシャー芯が

切れたことに気づき、徒歩数分のコンビニでシャー芯を買って

家に戻ってきたところで僕は今までさしてきた傘がいつもと違うことに気づいた。


「ん?この傘僕のじゃないな。」


コンビニに持って行った傘とよく似ているけど違う。

幸いその傘には名前が書いてあったが、その名前に僕は見覚えがあった。

松海香奈まつみかな

新入生代表挨拶1年G組松海香奈

「はい」と透き通った声で返事をした美しい彼女に誰もが見惚れる中

悔しそうに彼女を見ていたのが、ただ一人…

そう僕だ。

県内でも随一の偏差値の高い有名私立中にいた僕は定期テストで3年間首位を保ち続け

1度も誰かに譲ったことはなかった。

そんな僕だからこそ

しっかりと受験勉強をして臨んだ高校受験だったが、

まさか高校の入試で自分が首席にならないと思っていなかったのだ。

春休み中いつ高校から首席の連絡通知が届くかと思ってワクワクしていた

自分を殴りたい。そんなワクワクしてる暇があったら勉強しろと…

入試は過去一の出来だったはずだったが、

それでもぼくは彼女に勝つことができなかった。

生まれて初めて屈辱を味わった。

僕が入った高校は成績でクラスを分けるらしく、僕と彼女は同じクラスだった。

入学して早々ファンクラブができるような学年でトップクラスの容姿を持っている

彼女の周りには、常に誰かがいて、常にクラスの中心にいた。

僕は学年首席を奪還するため、前期中間テストに全力を注いだが、


「1位松海 香奈788点」


「2位五十嵐いがらし つとむ776点」


凡ミスで許される点差ではなかった。

テスト勉強に全力を注いでもなお勝てなかった。

しかしそれでも諦めなかった。一日の勉強時間を増やし次の定期テストに向けて

全力で勉強しているところだった。

そんな中、彼女の傘を間違えて持って帰ってきてしまったらしい。

「おかしいな、コンビニで彼女は見てないんだけどな。」

まぁ人の顔なんて気にして見ているわけでもないから、

見過ごしというものがあるだろう。と思っていた。

気づいてすぐに一度コンビニに戻って彼女がいるかを確認しに戻ったが、

すでに彼女はコンビニにいなかった。

しょうがないので家に戻った。


「明日返さないとなぁ。」


彼女には悪いことしたなと思いながら、ふと思い出した。


「そういえば僕の傘コンビニになかったな。」



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