あの人の脚
朝
あの人の脚
ドアを開けると、大きな丸いテーブルがあった。
真っ赤なテーブルクロスが敷いてある。
壁も真っ赤、床も真っ赤、レッドカーペットが敷き詰められたような部屋。
「遅い。」
女が身を乗り出して言った。
深い青の、タイトなドレスを着た女。
招かれるままに、女の隣に座った。
テーブルを取り囲む人たちは、みんな正装をしている。
私が来て全員揃ったのだろう。
目の前にそっと料理が差し出された。
「生ハムです。」
皿には腐敗して茶色くなった、人間の脚が置かれていた。
不思議ときつい臭いはしない。
私は慣れた手つきでナイフを握り、脚の表面を切り開く。
筋肉は腐敗し、骨は抜かれているので存外柔らかい。
中にはきれいに、生ハムが並べられていた。
くり抜いた肉で作られた生ハムだ。
隣の女が唸った。
「今まで食べた料理の中で、一番美味しいかも。」
そして私は思い出した。
ある友人のことを。
こんな形で再会することになるとは。
あの人の脚 朝 @morning51
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