第2話 見える世界
守護霊は、一般的に、その人の先祖などが多く、遠い先祖や亡くなった身内等が、務めている。
たまに、力の持った守護霊もいるし、ただ、本当に、生前から、人格が、良くできた人だった感じがする人もいる。
困ることは、見える人間に、助けてくれと、懇願されても、その人は、自分と無関係で、何なら、初対面ですと、悪いが、無視をしたりしてしまう。
あんなに、ペコペコ、頭を下げて、守ろうとしてる奴は、横暴に、人に、カツアゲしてますけど。
しかも、カツアゲ相手、千晃ですけど。
見る目がなさ過ぎる。千晃は、年齢よりも、体格に恵まれ、同年代の子よりも、しっかりしてる体つきで、祖父に似てしまった目の第一印象は、ちょっと見てるだけなのに、威圧感がある。性格は、至って、攻撃的ではないから、ちょっと可哀想。
と言うか、子供に、カツアゲしてる中学生は、情けない。
「ソラ、先に当たり棒、交換してきて。」
「んーうん。」
当たり棒を交換しに来たのに、絡まれてしまった。
チラッと、背後にいる守護霊に、避けるように、動かした。
千晃を守っている守護神の一体である龍、通称、
この人の守護霊、やめたほうがいい。
着物を着た歳の召したおばあさまだったが、この人は、十分、役目を果たした。
こんなトラブルを再三、繰り返してきた此奴を守るために、傷ついたのだろう。
着物の襟足など、ボロボロだ。
『もう良いんだよ。貴女は、よく、やった。仏様も貴女の役目をきちんと見てる。このままだと、貴女は消えちゃう。あの光の道を歩いていって。』
キョロキョロ、見渡すおばあさんは、良いのかと悩んでる様子。
『大丈夫。ほら、あの人、貴女の大事な人じゃない?』
恐らく、おばあさんの親だろうか?何となく、そんな感じがする。
手招きしている。おばあさんは、ハッとし、そちらに駆け寄ると、姿が、少女に戻った。
おさげ姿で、可愛い真っ赤の梅の花の着物。
両親に抱きしめられ、道を歩いていく。
「遠い子孫の為に、自分を犠牲にしなくて良いんだよ。それに、もう引き返せないよ。彼。」
守護霊が居なくなった彼に、新たに、守護霊がついたとしても、もう、彼を守るために、力を貸すかと言われれば、無理だ。
「引き返せる道もあったのに…残念。」
当たり棒を交換しに、店に入った。
「あれ?カツアゲしてきた人は?」
「龍牙がちょっと暴れそうだから、宥めるのに必死で、気づいたら、どっか、行った。当たり棒、変えられた?」
「うん。はい。」
アイスの当たり棒で交換したアイスを渡す。
「帰ろう。」
「うん。」
人生転げ落ちたように思う。あの人。
でも、無関係な人だから。助けようがないし。諦めてね。
一般的に見えてる風景と異なることはわかっていた。
両親は、霊感のれの字もないほど、霊感が無いのだ。凄く羨ましい。
ただ、器はでかく、子供の見たことや感じたことを、嘘だとか、力を利用しようとかしない、普通の感覚でいてくれるのが、救い。
だから、視界を遮られていて、見えなかった花火の形やあそこは行ってはいけないと言った忠告を真面目に聞いてくれる。そして、彼らは、花火の形はこうであるとか、わかった。行かないようにするとか、一般人が見えている事を教えてくれる。
両親に災いが降りかからないように、兄弟は気をつけている。特にソラは、両親に、加護と言われる位の力を注ぎ、災いを消している。
ソラは、上の兄たちとちょっと異なり、使役しているのは、小さきものと呼ばれるちょっとした妖怪たちに、頼み事を頼み、駄賃に、褒美を与えている。ギブアンドテイク。
小さきものは、優秀であり、煤のような真っ黒な形をした妖怪だったり、小鳥に擬態した何かだったり…様々。
「あれは、ストーカー?」
「よく見ろ。顔面に血だらけの女だ。地縛霊だ。厄介だ。遠回りしよう。」
「…気づかれた!」
「ダッシュ!!」
ギャー。やめて。交通事故で亡くなられたのは、可哀相だが、ついてくるんじゃない!!無念を晴らすために、動くのは、わかるけれど、こちらの都合は無視をしないで。
いきなり、電柱から落ちてこないで!!
その後、丁重に、天に行って頂いた。
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