第45話 マスクの下は?

 わたしの友人でかなりの美人さんがいる。

 友達の欲目を差し引いても、美人さんだと思う。

 だけどなんていうか、自覚が無い。

 そこがまた可愛いのかもしれない。


 彼女はだいぶ昔から花粉症。

 花粉の季節には必ずマスクをしていた。


「花粉症の鼻水って、水みたいに垂れてくるんだよ」


 当時まだ花粉症じゃなかったわたしにはよくわからなかったけれども、彼女はいつもそう言っていた。

 そして。


「だから、鼻かもうと思った時には間に合わないの。それでね、どうせマスクしてるし、私は鼻にティッシュ詰めちゃってるんだよね。こうやって……みたいに」


 マジか……


 さすがに実物は見せてくれなかったけれど、想像して吹き出した。

 美人が台無しだよ、友人よ。

 そして、そんな事言わなければ、誰にも分からないのに。


 今、花粉症を発症してしまったわたし。

 鼻水が酷い時には、ちょっと心惹かれてしまう。

 ……まだ、試したことはないけれど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る