第35話 サビオ

 うちは、祖父母も両親も北海道出身。

 なので、家の中で北海道特有の言葉を使われたところで、誰もそれが北海道特有の言葉だと気づくことは無い。

 たとえば、


「お米を研いでうるかしといて」


 と言われても、はーい、と伝わるけれども、おそらく道外の人間は


「は?って、なに?」


 って感じになるのではなかろうか。


 さて。


 まだわたしが子供だった時、近所に仲のよい友達のともちゃん(仮名)がいた。

 ある日一緒に遊んでいると、ともちゃんが膝に怪我をしたので、家に連れて帰った。

 ともちゃんの怪我を見た母が、救急箱を取り出しながら、


「それくらいならでも貼っておけばいいねー」


 と言うと、ともちゃんは


 ???


 な顔をしてうちの母を見た。

 私は、ともちゃんの反応が分からず???な顔をしてともちゃんを見た。

 そんな事には構わず、母は救急箱からを取り出し、ともちゃんに渡す。


「はい、。貼っておきなさい」


 すると、ともちゃんは言った。


「おばちゃん、『さびお』って、なに?」


 母と私は顔を見合わせたのだった。


 ※サビオとは、絆創膏の事。北海道人であれば通じるはず。あとは、愛知でも一部地域では通じるらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る