第23話 棺桶からの復活
久しぶりに、昔の仕事の先輩たちと飲みに行った。
うち1人は現役を引退し、悠々自適に過ごしている人。
その人も元気に待ち合わせ場所に現れた。
「お元気そうで」
そう言うと、その人は言った。
「元気じゃないよ、この間棺桶からようやく復活してきたばかりだよ!」
その人特有の冗談だと思って笑って流していたが、後からよくよく聞いてみるとどうやら本当だったようで。
ICUに入って家族も全員呼ばれ、今夜が山です、的な事も医師から告げられていたらしい。
「でも俺意識はっきりしてるからさ。周りで『う~』とか『あ~』とか呻いているの聞こえるし、余命宣告もしっかり聞こえたし、ふざけんなって感じだったよ」
そう言って、その人は美味しそうに生ビールをグビグビと飲んでいた。
ICUからの奇跡の復活。そして、5か月後には旨いビールを飲める奇跡。素晴らしい!
その人は笑いながら話していたけど、何かの歯車がずれていたら今ここにこの人はいなくて、もう二度と会えなかったかもしれない。
そう思うと、
「良かったですねぇ」
なんて笑って一緒にビールを飲みながらも、この奇跡の復活に感謝の念を禁じ得なかった。
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