第22話 間違ってはいない

 両親とご飯を食べに行った時の話。

 コース料理の最後に、デザートとして小さめに三角(底に皮付き)にカットされたスイカが出た。

 そのスイカにはスプーンは付いておらず、最初は戸惑ったのだが、個室だったこともあって思い切ってかぶりついて食べた。

 小さめの三角だったので、おそらくこの食べ方が正解なのだろうと思う。種も取られていて手も汚す事なく、3口くらいで食べ終わった。


 スイカが出てくる少し前、お手洗いで母は席を外していた。

 戻って来た母がスイカを見て私に尋ねた。


「これ、何で食べたの?」


 私は答えた。


「口で」


 一瞬の間。

 母が聞きたい事は分かっていた。スプーンが無いから「何で」と聞いたのだ。

 だから、私の答えは間違ってはいないはず。

 かぶり付いて口で食べたのだから。

 だが、直後に両親に笑われた。


「それは当たり前でしょ」


 と。

 確かに、全ての食べ物は最終的には口で食べる。

 けどっ!


 ……私の答え、間違っていないと思うけどな?

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