第12話 だいちゃん
~今は亡きだいちゃんへ捧ぐ~
私が小学生の低学年の頃だったかな。
だいちゃんと出会ったのは。
その頃だいちゃんは飲食店でアルバイトをしていて、私たちの家族とだいちゃんは、その飲食店で出会い、以降ずっと家族ぐるみの関係が続いていた。
この、だいちゃん。
本名に、「だい」という文字は一文字たりとも入っていなかったりする(笑)。
だいちゃんがアルバイトをしていた飲食店の当時の店長さんも、その後店長となった今でも交流のある当時の社員さんも、みんな彼のことを「だい」とか「だいちゃん」とか呼んでいたから、私たち家族はてっきり、
【だいすけ】とか【だいち】とか、そんな名前なんだろう
と思っていた。
ある年のお正月。
見た事も聞いたことも無い名前の人から、親し気な内容の年賀状が我が家に届いた。
気持ち悪いなって思って、そのことを飲食店の社員さんに話したら、
「あぁ、それ【だい】だよ」
……はぁっ?
私たち家族は、みんなポカン。
そして、何故彼が【だい】と呼ばれるに至ったのかの理由を、初めて知ることになった。
理由はいたって簡単。
その頃、オリンピックの水泳で金メダルを取った【鈴木大地】選手に似ていたから、だそうだ。
……あまり似てるとは思えなかったが(笑)。
だいちゃんはすい臓がんを患い、あまりに早くに天に召されてしまった。
東北鈍りがずっと抜けなくて、ホッペもいつも赤くて。
吉川晃司の歌を振り付きで全力で歌ってくれたり。
私にとって優しいお兄ちゃんだった、だいちゃん。
ごめんね、本名は全然覚えてないや(笑)
でもずっと、だいちゃんの事は忘れないよ。
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