第11話 塗り忘れ
だいぶ、電車の混雑具合が戻って来た今日この頃。
厳しかったコロナ感染症対策から解放されるのは嬉しいものの、この電車の混雑具合は全く嬉しくない。
致し方ないが。
でも。
ネタというのは、どこに転がっているか分からないもので。
通常、満員電車では大抵の人は同じ方向を向いて乗るものだと思うのだが、なにかの拍子に1人のオバサマが私と向い合せの状態になってしまった。
私より背が高めのオバサマだったため、まっすぐに向いた私の視線が、ちょうどオバサマの顎のライン辺りに。
あ~……だいぶ、濃い目に塗っていらっしゃいますねぇ。
マスクをしていらっしゃらなかったオバサマの顎から上と顎から下では、だいぶ色が異なっていてね。
仕方ないよね。
マスクしている間って、割とみんな手抜きのお化粧していたんじゃない?私もだけど。
それが、いきなりマスク無しとかになったら、そりゃ気合も入ってしまうかもねぇ?(私は元から手抜きだし、未だにマスク生活だけど♪)
なんて思いながら、ふと少しだけ視線を上げると。
オバサマの顔の中に、一部だけ首と同じ色の箇所が。
それはどこかと言えば。
鼻の穴と穴の間
うんうん。
仕方ないよねぇ。
ここ、塗り忘れがちだよね、きっと。
長いマスク生活の間に、すっかり忘れ去られてしまったんだねぇ。
鏡でチェックする時だって、下から見る事なんて、なかなか無いからね。
いつ誰が気づいて、このオバサマに教えて差し上げるのだろう?
う~ん……
でもちょっと。
ハンコみたいで、面白かったりして(≧▽≦)
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