勇者(ド屑)に敗北した魔王様が強姦されそうになってたので勇者(ド屑)をボコった

ナギさん

第一章 転生しちゃったよ!?

第1話 転生したは良いけど転生先が魔王城で……

(俺は……死ぬのか)


俺こと波切陵は現在死の縁を歩いている。ついさっきまでの俺の状況を簡単に説明しよう。西暦2029年8月24日、長野県の八ヶ岳で登山をしていた俺は、山道で足を滑らせ、崖に落ちてしまった。


崖から落ちて何時間経ったか分からないが多分助かることは無いんだろう。俺が歩いていた後ろや前には誰一人として人が歩いておらず、俺が落ちたことに気づく人は存在しない。


足の感覚的に両足とも折れているし、なんなら腰あたりも圧迫骨折、肩は脱臼しているし、もうこの状況で助かる見込みは無いだろう。


そろそろ意識が朦朧としてきた。俺の視界はすでに殆ど見えておらず、時期に真っ暗になって何も見えなくなってくるだろう。


(あーあ、俺童貞のまま死ぬのか。来世ではヘタレじゃなければ良いな。あと来世は誰でもぶっ飛ばせて大切や人を守れる力がある何かに……って、流石に強欲すぎるかな……ははは……)


もう考えることも厳しくなってきた……その時。


『了、力のある肉体を生成します』


謎の声が聞こえた。まぁ、今の俺はどうせ死ぬんだからあまり関係ないか。どうせならもっと考えてみたかったな。俺が強い世界とか。


『了、思考加速を獲得します』

『了、中心の世界を獲得します』


あー、死にたく無い死にたく無い。もっと長く生きてたいよ。もっと長く生きて小説書きたいよ。神様って本当に意地悪なんだな。神にあったらぜってぇぶっ飛ばしてやる。


『了、死なない肉体を生成します』

『了、神に対抗する力……ゴッドスレイヤーを獲得します』


まぁこんなこと考えたってどうせ死ぬんだ。最後くらいこんな妄想しても良いだろう。さよなら世界。


『了、世界の滅亡を……獲得します』


その声を聞いた瞬間、俺の意識は途絶えた。












「くそ……貴様らなんぞにこの私が……敗北するとは……」


俺は意識を覚醒させた。助かったのかと思って周りを見てみると謎の5人が居た。一人は美しい刀身を兼ね備えた剣を持った男。一人はメリケンサックをつけた男。一人は木の杖を持ち、三角帽子を被った男?胸ないから男だよな?女かもしれん。てか女だったらロリってやつになると思う。うん。


もう一人は緑色のローブを羽織った男。そして最後の一人は、ツナを持った女の子だった。そんなことを考えていると、剣を持った男が口を開いた。


「おうおう魔王様よ〜今どんな気分だ〜?敗北して悔しいか〜?そうだよなぁ悔しいよな〜?」


なんかすごい悪役感ある人間だな。正直クッソ胸糞悪いぞこいつ。てか状況的に見て勇者か?こんなやつが勇者で大丈夫かよこの世界……。


「こ……殺せ……私は貴様らに負けたのだ……さっさと殺せ……」

「惨めなものですね。あれだけ大口を叩いていた割にはこの程度だったなんて」


次にメリケンサックを付けた男が口を開いた。見た目的に見て武闘家か何かかもしれん。武闘家の割に言葉遣い綺麗だなおい。


「ん?お前よく見たら顔結構いいじゃねぇか。そうだ……いいこと思いついた」

「そ……そんな事……ダメじゃないかな……」

「うるせぇな……テメェは黙ってろよ」

「……はい……」


なんだかロクでもないことを考えていそうだな。まぁ容易に想像できてしまうわけだが。そんなこんなで勇者らしき男が味方に耳打ちする。の耳打ちが終わったところで勇者は魔王の方へ行き。


ボロン


こいつ何考えてるの?アホなの?今のご時世こんな事したら社会的に終わっちゃうよ?てかなに?そういうプレイだったりする?


「い……一体……何を……」

「最後くらい楽しませてくれたって良いよなぁ〜?」


(とんでもない行動にでやがったあいつうううう!!!)


勇者がまさかの魔王を襲おうとしていのだ。多分ヤった後殺すつもりなのだろう。最後とか言ってたし。


「それじゃまず口で抜いてもらおうかな〜?」


もう悪役のセリフじゃねえか!もうこうなったら仕方ない……流石にあの女の子(魔王)を放っておくわけにはいかない。明らかに俺の目から見たら勇者側が悪だからね!


その瞬間俺は物陰から飛び出していた。


「おいゴルアァァ!なーーにしようとしてんじゃこのバカたれどもーーー!!!」

「だ……誰だ貴様!」

「テメェなんかに名乗る名は無い!!」


そう叫んだ瞬間、俺は勇者との距離をコンマ1秒で詰め、勇者の腹部に拳を叩き込んだ。いやちょっと待て!俺こんなに移動速度早くないんですけど!?100メートル13秒のやつですけど!?


「ぐ……が…………」


勇者の腹部を殴るとなんと勇者が吹き飛んでいき、多分白の柱であろう場所にぶつかり、その柱を貫通してさらに向こうの壁に激突し、そこで勢いは止まった。


(なーーーんかすーーごいパワー出たんですけど!?!?!?)


「な……なんというパワー……」

「どういう事だ!こんな力見た事ないぞ!?」


(うん!俺だって見た事ない!)


「さてと?次は誰が俺の相手をしてくれるんだ?」


(まぁ俺が一方的に喧嘩売ったんだけどね☆)


「くそ……に……逃げるぞ!」


(いや逃げるんかい)


そうして勇者達は逃げていった。だが、ただ一人だけ三角帽子を被った魔法使いのような人間だけここに残っていた。まぁ状況的に見てもし俺たちが負けたらお前が足止めをしておけとか何とかという口だろう。


(もしそうだとしたら胸糞が悪いところだな。)


そんなことを考えていると、三角帽子を被った人間が杖をこちらに向けてきた。攻撃するつもりなのだろう。だが手足は震えていて、まさに怯えているという感じだ。超絶簡単にいうと、生まれたての子鹿のようだった。


「なんだ?さっきのを見てまだ俺と戦うのか?」


三角帽子を被った人間の目には涙が浮かんでいた。向こうも逃げたいのだろう。相手も一人の人間だ、自分の命が脅かされていると言うのに涙を流さない人間の方がおかしい。


多分その中には仲間に見捨てられたという悲しみとかもあるのだろう。多分俺だって相手の状況だったら泣く。てか号泣する。怖いし。


だが三角帽子を被った人間は逃げるような様子はない。自分の感情を押し殺して仲間の逃げる時間稼ぎをしようとしているのだ。自分も助かりたいだろうに。


(ていうか俺の方が魔王みたいじゃねぇか!)


まぁとにかく弱いものいじめをするようなつもりはない。あの勇者どもは別だがな!少なくともこいつは勇者達のやろうとしていた行為を止めようとしていた。とても優しい人間なのだろう。


「悲しいもんだな」

「な……何が……?」

「どうせ……俺たちが負けたら逃げる時間稼ぎをしろ!無能なお前でもできるよな?とでも言われたんだろ?」

「なんで……そんなことがわかるんですか……」


まぁそれがテンプレみたいなものだからね☆とは言えずに俺は沈黙を返した。


「私は……なんであんな仲間を持ってしまったんでしょうか……」

「さあな。俺はそっちの事情なんて分からない。だがな、お前みたいな奴を見捨てる奴は絶対に許せねぇんだわ」


魔王様っぽい人を犯そうとしてたしな。許さんぞあの勇者ども!


「わ……私はあなた達とは敵同士です……人間で……勇者パーティーで……」

「だからどうした?あと、俺は魔王軍じゃない!転生した瞬間こんなところに居ただけだ!」


まぁ魔王軍じゃないし、真実を言うしかないだろう。まぁ言わなくても良かったような気はするけどね☆


「お前があの勇者どもに復讐したいなら手伝ってやる。復讐とかじゃなく、ただ幸せになりたいだけなら出来る限りの手伝いをしてやる」


何言っているのだろうと自分でも思っている。でもこんなに不憫な子を見捨てるなんて俺には到底できない。


「いいか?俺はあの勇者どもが大っ嫌いだ。キモいし、普通に人間として終わってるしな」


三角帽子を被った人間の目から涙がこぼれ落ちていた。どういう涙か全く分からないが……と言うのは普通のラノベの話。俺にはある程度予想できてしまう。そこは語らないがな。


「あなたは……私を救って下さるの……ですか?」

「お前の望みならそうしてやる」


俺は、三角帽子を被った人間の肩に手を置き、笑顔で、三角帽子を被った人間の目を見てそう言った。


「お兄ちゃんみたいです……」

「お前が望むならお兄ちゃんになっても良いが?」


三角帽子を被った人間は目を見開き、涙を流しながら俺に抱きついてきた。その時に帽子は地面に落ちた。


「俺が……兄ちゃんが幸せにしてやっからな」

「うん……うん……」


この子がそれを望むならそうしよう。俺だって人間なのだから。っと、すっかり忘れていたが、魔王様の様子はどうなっているのかなと思い魔王の様子を見た。


見た瞬間に思った。メチャクチャ可愛い。いや、こんな状況でそんなこと考えるのは良くないとは思うんだけど考えてしまったよね。


魔王様は上目遣いで俺を見ている。目に涙を浮かべながら。多分、安堵しているのだろう。この子も魔王ではあるが一人の女の子なのだ。男3人に囲まれてエクスカリバーを無理やり見せられたのだから恐怖だっただろう。


そんなことを思っていると、魔王様がなぜか俺に向かってきた。


(え?なんで?俺何かした?もしかして俺殺されちゃう?)


そんなことを考えた瞬間、魔王様も俺に抱きついてきた。こんな美少女もとい、美少女魔王様に抱きつかれると流石に俺も照れてしまう。


「ありがとう……ありがとう……私……辱められて……屈辱を味わって死ぬのかと思った……」


今空いている左手で魔王様の頭を撫でてやった。怖かっただろう。だって、魔王様も一人の女の子なのだから。


これは新星歴514年1月4日、俺が転生して魔王様を助けちゃって異世界で人間の敵になるお話。

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