第48話 報告

 ここはパシオンゴルフガーデン。


 そこに呼び出されたのは城野真理香、桃川涼花、有岡里桜の女子プロゴルファー3名だ。

 向かいには、大内雄介プロ。


 ここで話される内容は、もちろん先日のラウンドについてである。


「それで、ルリくんは、どうだったかね」


 そう尋ねる大内雄介プロに、城野真理香が答える。


「はい、まだ粗削りですが、いいものを持っていると思います。たぶん、気持ちに左右されるタイプなのでしょうね。乗ってきたら手が付けられなくなりそうな」


 それはたぶん、4番ホールで苦手を克服して以降の事だろう。

 瑠利は実力以上のプレイを見せて、しぶとくプロたちに食らいついてきたのであった。

 その記憶が残る有岡里桜は、両手を交差し、身体を抱くようして身を震わせる。

 胸を貸すくらいの気持ちで受けた依頼であったのに、まさかの追い詰められ方をしたのだ。


「次、一緒にプレイしたら、たぶん何度か負けると思う。今回ルリっちのパターが入らなかったからセーフだったけど、もう無いでしょう」


「だよね、瑠利ちゃんがバーディ取って、私がパーなら負けだもんね。もうそれくらい差は縮まって来てると思う」


 そう話す桃川涼花も、どうやら同じ感想だ。


 もっと下手だと聞いていたのに、話が違う。


 そういう事であった。


「フフフ、みな良い仕事をしてくれた。これは、私からのお年玉だよ」


 三人からの報告に満足した大内雄介プロは、懐から取り出した分厚いお年玉袋を手に取り、彼女たちへ渡す。


「ありがとうございます」


「わ~い。太っ腹っ!」


「こんなにも? ありがとうございます」


 それぞれ、城野真理香、有岡里桜、桃川涼花の反応だ。


 当然依頼料は別に渡しているが、先輩プロからのお年玉10万円。


 たとえツアーに出られるプロであっても、お金は大事。

 女子の賞金は男子よりも安く、総額が1億円程度。

 優勝賞金が1800万円として、賞金の獲得できる50位で40万円ほどと、厳しい現実が待っている。

 おまけにこれは、予選を突破した場合。

 もちろん、そうでなければ賞金自体が無いのだ。

 プレイフィーは無料であっても、旅費や交通費、食費は自腹。帯同キャディがいれば、その分の給料もあるので、支払いは2倍以上である。 


 優勝経験者の城野真理香は別にして、有岡里桜と桃川涼花には嬉しい臨時収入であった。


 

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