最終法典

詠称はると

最終法典(上)

最終法典(上)



プロローグ <ファントム>



月が光る夜に四つの影があった。

影は彗星のように尾を持ち、地球の軌道を高速で動く。彗星と違い楕円軌道を描いていない。一つの影はジグザグに動く、二つの影は衝突した。残りの影は光り輝き本当の彗星のようになった。


「すごいわ、光の祖国のファントムは」

影は驚きと同時に興奮状態だった。呼吸が乱れ、結んでいた髪はすでに半分ほどけている。

「ジュイエ、避けろ!ファントムAがオーバードライブしている。」

ジュイエと呼ばれた影は動けなかった。すでに足には致命傷を受けていた。回廊を移動できる体力もなかった。


「オクトーブ!私はオーバードライブする!」

無理なことだとは分かっているが、もうこれしか方法は残されていない。ファントムAは私を確実に仕留める。避けることはできないだろう。オクトーブと呼ばれた影は左手をかざした。「さよなら、ジュイエ・・・」、オクトーブは何かを言っているが私には聞こえなかった。私の衣は光をまとい、一直線にファントムAに接近する。相打ち覚悟の最終法典を使った。


「フィーネ!」

私のエペがファントムAに刺さる、寸前に、ファントムAは叫んだ。



「終結」

ファントムAの光の剣が私を包んだ。「きれいね」と私は思ってしまった。ようやく終わるのよ。私たちの戦いが。ようやく・・・



ファントムCは私の刃に消えていく。私の最終法典は確実にファントムCを仕留めた。無限とも思えた戦いは終わりを告げるだろう。私は息を大きく吐いた。ゆっくりと回廊に降りていく。透明な道はガラス板のようにも見える。今まで私たちが戦っていたのは空に作られた闘技場。皆は回廊と呼んでいる。透明な階段や通路が見える。回廊は夜空に広く作られている。その中では私たちは人間の想定を遥かに上回る能力を発揮できる。高く飛び、速く走る。すでに常人の視力ではついていけないだろう。実際、私の視力も霞んでいる。能力を使うごとに自身の体力は急激に減っていく。この苦しみを終わるには相手を倒すしかない。



「卯月、大丈夫」

ファントムBが私に近づいて言った。私は横に顔を振る。激しい戦いだったが、私の体には問題はない。もう何十回も戦いを続けている。自身の体力の使い方は身についている。だが、これだけは何度戦おうが、私には耐えきれない。私は頬を伝わる涙を熱く感じる。私は人目を憚らずにめそめそと泣く。

「皐月、私はもういやだ。」



「また、消えてしまった。また、消してしまった。」

ファントムCは光となり夜空に消えていった。戦いの中の厳しい顔でなく、彼女本来の優しい顔で、笑顔で消えていった。そして、ファントムDも消えていくだろう。彼もまた何かを達成したかのように穏やかな顔をして。私たちは祖国を守った。今回も祖国は無事だった。代わりに「地の祖国」は守られなかった。我が「光の祖国」の支配下に入る。でも、一時的なもので、次のファントムが他の祖国に勝てばバランスがとれる。



この世界は残酷であった。

何も知らなければよかった。

このゼロサムゲームを。

「最終法典」と呼ばれる戦争を。



私は夜空に広がる星々を見上げた。

「ねえ、皐月。私たちはいつ消えることができるのかな。」

皐月は答えない。

私たちは白い衣をまとう。それは花嫁にも見えるが、死装束にも見える。

ゆっくりと刀を鞘に収めた。



「元の鞘へ収まる」は良い言葉だと思う。

さまざまなときに用いられるだろうが、この戦いを終えたときに私は思う。私がファントムでなくなり、元の人間に戻れるとの安堵感がとても心地よい。私はもうすでに毒されているのだろうか。この一時の高揚感と絶望感に。



次の戦いはいつになるのだろうか、明日か?明後日か?それとも今すぐか?





Act.1 <覚悟>



「卯月」は私の戦闘実行時の名前だ。4月生まれなので、「卯月(うげつ)」簡単な話だ。本来ならば「うづき」だが、「うげつ」と呼ばれる。そう、私たちの名は誕生月で片づけられている。もちろん、通常の人としての名前は別にある。しかし、ここでは明かすことができない。『連邦』によって私たちの存在は極秘にされているためだ。秘密にする理由はいくつかあるが、最たる理由は、戦いが行われる前での私たちの暗殺だろう。単なる16才の娘がなぜ暗殺されるかという質問は良いと思う。私たちには重要な任務が課せられている。その任務は我が祖国の運命を左右する。場合によっては滅亡といった危機に瀕することになる。命と引き換えにしてでも守らなくてはならい、我が祖国。皆、祖国は好きだ。なくてはならない。私たちの『光の祖国』はその名の通り東からの朝日を受けて輝く都だ。私はその祖国で生きている。この祖国を守るという使命感で私たちは、あの恐怖とともに戦いを行っている。



その戦いを皆、『最終法典』と呼んでいる。



「卯月、次の戦いが決まった。2日後に南の回廊で『砂の祖国』と戦う。」

私の戦友の「皐月」が言った。5月生まれだから「皐月(さき)」だ。回廊とは私たちの戦いの場だ。空に作られた透明な闘技場。その中で私たちは『ファントム』になる。そうファントムだ。例えようがない、修羅のような空間で私たちは相手を討つ。私たちを例えていうならば。



『化け物』



幾多の戦いの中で、私たちは勝利を得ている。それは偶然ではなく必然だ。


戦いの前に私は禅に向かう。皆が思う禅は修行のようなものを考えると思うが、私の禅は少し異なる。髪を梳いていく、眉を描き、紅をさす。白い装束を身にまとい鏡に向かう。しばらく無言で過ごす。自分の姿を眼に焼き付けていく。そして、己を見定め、己に問う。


「貴女は死を恐れているか」


自分に問う。答えは返らないが、また問う。


「貴女は祖国を守りたいか」


いくつかの問いを行っていく。もちろん、鏡の中の己は何も返してはこない。だが、表情で分かる。瞳が語る。すべて「はい」と言っている。馬鹿げていると思われるが、私は常に戦いの前に行っている。この戦いでは極限状態に追い込まれる。最後に勝敗を分けるのは己の覚悟だと私は信じている。例え、両手と両足が動かなくなろうとも、両目と両耳が使えなくなるとも、最後まで諦めない。



「そう、最期までもだ。」



そして、私は問いの最後に鏡の中の己に向けて言い添える。深々とお辞儀とともに。



「生きていてくれて、ありがとうございます。」



しばらく、首を垂れる。過去の記憶が戻ってくる。走馬燈のように数々の思い出が。

楽しかった、辛かった、悲しかった思い出、それらをすべて無にする。

死とはそういうものだと感じる。

あの場所に踏み入れたのならば、もう戻れない。戻ってくることができるのは一組のみ。生と死とと言葉にしてしまうと軽薄に見えてしまう。私はいつもあの場所へは恐怖とともに向かう。だが、ファントムと化した私には恐怖を失う。相手のファントムを消すまで本能のままに戦う。




戦いの日が来た、南の回廊に上っていく私たち。

いつも通りの白装束を纏っている。

私はファントムになる。白から灰色になり、真っ黒な影になった。



「祖国のために」



戦いが始まった。



『砂の国』のファントムを確認する。今回は相手がAとBとなり、私たちはCとDとなった。最終法典には一つのルールがある。戦いの決着はAかCの消滅にて決まる。単純なルールだがこれは足枷となる。相手のBとこちらのDを攻撃しても決着はつかない。そのため、通常はB(D)は盾となり剣となり対戦してA(C)を守る。



だが、私たちはその逆を行く。

ファントムCとなった私は光の速度となり、ファントムAに短刀の光刀とともに飛び込んでいった。



「正気か『光の祖国』は」

相手のファントムたちは一瞬の後れをとった。



「その隙が死となるの」

ファントムBを躱した私はファントムAの胸元へ飛び込んだ。




ときにはこんなにもあっけないこともあるのね。そうつぶやきながら私はまた泣いている。消えていくファントムAは美しかった。光の泡となり空へと帰っていく。短刀を鞘に収めながら、空を仰いだ。

涙が暖かく流れていく。

「ごめんなさい。こんなことしか私にはできない。」

消えていくファントムを見送っていく。もう貴方たちは解放されたのね。

ゆっくりとおやすみなさい。そう、ゆっくりと。

もとの人となり、私たちは回廊をあとにした。




私は鏡の前に座っている。

首を垂れて鏡の中の己にお礼を言う。



「また、お目にかかれて嬉しく存じます。」





Act.2 <十七>



金属音とともに光刀が後方に飛ばされる。黒い影から射出された弾丸が私の右手ごと吹き飛ばした。ファントムになっている私に激痛が走る。だが、まだ左手が残っている。懐からもう一振りの短刀を手にした。銘を『輪花』と呼ぶ。口で鞘を持ち、左手で柄を持つ。桜色の鞘が視界に入る。鐺に桜の花びらが刻まれている。私は『元のさやに戻す』ために、鞘を力強く噛む。


右足に重心を移しながら、相手のファントムAの位置を確認する。利き足である左足はもう動かない。



私たちの戦いである『最終法典』には二つの意味がある。戦いそのものを指す場合ともうひとつ。



私の白い衣が光り輝く。黒い化け物である私の体が金色に輝いていく。魂を燃やし一点に狙いを定めた。臨界点まで突入しのち、鯉口を切った。

同時に『最終法典』を発動させた。



私は音速を超えてファントムAに接近する。数十の弾丸が私を貫いていく。それでも私はファントムAの魂を貫いた。



残花となった私の横に皐月が近づく。『輪花』を持ってきてくれた。私が咥えている鞘に収めた。私は片目を開けて、消えていくファントムAを見送る。また目から暖かいものが流れる。



「さようなら、私の友人。さようなら。」



『最終法典』は最後の力である。戦いの間に一度だけ訪れる。魂を燃やして己の力を増幅させる。ただ、放てばもう戻れない。



心の中までファントムに侵されていく。



「終わったのですね。また、消えていったのですね。」



今は春、4月は私の誕生月。十七となった私に残された時間は一年だ。戦いとしての『最終法典』にはいくつかのルールがある。その一つにこうある。



「ファントムはその者が十六から十八になるまでの間のみ実装できる。」

「あと、祖国のために一年も戦えるのね。」



鞘を咥えた私の口角がわずかに上がった。





Act.3 <邂逅(かいこう)>



ここは我が家の庭、私は檜の廂から陽の光を見る。まだ、風が心地よい水無月の昼。藍色の衣の女性が近くに来た。名は「菊」という。


「御姫様に会いたいと申すかたがいらしております。」

私に来客はめずらしい。私はこの家からは出ることは数少なく、勉学も先生方がいらっしゃる。十七となった今も、友人というかたも数えるほどいない。


「どなたかたかしら。」

少し興味はあるが、私は他のものと会う気はなかった。私とかかわりを持ちたいと思うものは、なにかの不心得があると感じてしまう。私は手元にある書物を開きながら言った。


「『涼音』と名のっていらっしゃいました。」

私の手が止まる。




奥の間は襖に松が描かれている。金色の空に松が高々と描かれ、優美な枝葉は生命の力を感じる。私は来訪者を迎えるために紫の衣をまとっていた。ほどなくして、小さな足音が聞こえてきた。灰色の着物の刀自(とじ)がいらした。




「おひいさまにはお初にお目にかかります。涼音と申します。」

女性は深く頭を下げる。一拍のとき、私は面を上げるよう言葉をかけた。女性の顔は初めて見るが、名は存じていた。女性は私のことを昔の友人を見るように、目を細めた。




「『光刀』を失い、申し訳ございません。」

私は女性に首を垂れる。先の戦いで短刀の『光刀』を破壊してしまった。今の私の短刀は『輪花』の銘を持つものだ。むろん、『輪花』で最終法典に臨むことは可能だ。ただ、『光刀』は代々我が祖国で受け継がれていた短刀であり、私の代で失うことは我の不徳といたすところであった。




「気に病むことはございません。彼の刀はただの短刀でございます。主を守るのが宿命。」

「おひいさまが無事で何よりでございます。」

勿体ないお言葉でございます。と私はまた首を垂れる。幾ばくかの言葉を交わしその女性は我が家をあとにされた。




少し、心の靄が晴れた気になった。

「涼音さまが私のもとに来られた。」心の中での言葉だ。おそらくは我が祖国の統括者からの指示なのだろう。今の私の戦いには迷いがあった。それを否定することはできずにいる。このままでは私の敗北は近づくであろうことは、自身でも感じていた。戦いは私の歳が十八まで続く。あと半年間の中で最もの危機であろう。




「涼音さま」は最終法典を十八まで戦い抜いた御仁であり、我が祖国の英雄となる。




我が祖国ではこう呼ばれる。




『永遠の鼓動』と。



Act.4 <真理>





夕刻を過ぎ、陽の傾きが美しくなった。私の前に皐月が現れた。



「最終法典は3日の夜に行われます。」

皐月は朱色の衣を纏っている。出会ってからもう、2年の月日が流れた。初めの印象は不愛想であったが、今はその淡々とした会話に安心感を得ている。私の友として、話し相手として、心の内を共有できた。他のものでは私たちの苦行は理解できないだろう。また、他のものに話すことは禁じられてもいた。



「もうすでに終わりの日は近い。しかし、それだけに消えてしまう危機も多い。」

最終法典はそのものが十六から十八になるまでの期間に参戦を許される。2年弱の間に危機は2度起きるという。最初は初陣で、3割のものが消えるという。次が終わりに近いひと月の間という。身体の限界も近いが、こころの限界も来ている。もう少しの安堵も原因の一つであろう。私の心の内をすべて明かすことはできないが、同じような心境にも立たされている。



「相手はどの祖国でしょうか。」

私は皐月に尋ねる。暫しの間があいた。それが私には不思議に思えた。先に説明した通り、皐月は淡々と話す。もはや感情がないのではないかと心配になるが、当人には問題はない。私が尋ねると、刹那に答えが返ってくるのが、いつものことだ。



「どうされましたか。」

私は再度尋ねた。



「白(はく)の祖国でございます。」

やっと皐月は答えてくれた。が、



「白の祖国」

私の心が揺れている。ついにそのときが来たのかとこころでつぶやく。白の国は光の国の隣国である。国交も正常であり、親しいものたちはかの祖国との交友のあるものも多い。だが、隣国であれど国と国であり、最終法典に参戦するものであった。戦いは盲目的に行われるものではない。統括者のものが各祖国から要請を聞き、戦いの場を設けている。なんからの理由があるならば、我が祖国との対戦もありえた。



「卯月は戦えますか。」

皐月は不問な質問してきた。最終法典には辞退の選択肢はない。決まったことは、必ず行われる。もし、辞退を選ぶとならばその祖国は参戦者の資格がなくなり、暫しの間、世界から隔離される。行く末は暗くなる。ただ、ただ、私には一抹の不安を感じたのは確かだった。一時の間、私は言葉を発しなかった。それは肯定とも否定とも思えた。



「彼の者たちは元気でしょうか。」

私の心の不安を一言吐き出す。皐月にはこの言葉で通じると確認した。彼は私の本当の名となぜこの『光の祖国』にいるのかを知っている。だが、このことは他の者たちも知っている。その逆だった。他の者たちが知らないことは私が『最終法典』で戦い、ファントムとして他の祖国のものを消していること。そのことを知らないため、私には辛い言葉が投げかけられている。



私は『白の祖国』から后として、ここにいる。



だが、今の我が祖国は『光の祖国』に違いない。そうでなければ、私は何をしてきたのか、後悔の念が消えなくなる。



そのために私は『白の祖国』と最終法典を交える。

問題などはなく、これは明白な理となる。



白の祖国。

過去、私が住処としていた土地はもうない。

すべてを失うとも、私はこの『光の祖国』で生きながらえている。

それは幸運なことと確信している。ならば、私の真理は揺るがない。



戦いが終われば、私にも何らかの答えを持つことができるでしょう。





Act.5 <我らの皇女>



「泣かないで、姉さん。」

私の腕の中にいる『白の祖国』のファントムCは囁いた。私の短刀に貫かれている状態で、最後の力をふり絞り言葉を紡ぐ。黒い影が徐々にもとの姿に戻っている。藍色の瞳、淡い灰色の髪、見間違うことはない。私の妹。彼女の姿が戻ると同じく、私の姿も戻っていく。いつも通り、熱いものが頬を伝う。せき止めることができない河のように。悲しくつぶやく私の言葉。



「わかっていたの、最初から。」



「あなたが回廊に姿を見せたときに。」



私は吐露する。自分の愚かさを自分で咎める。なぜ自分の命で救えなかったのか、我が祖国と大事なものを天秤にかけてしまった。深い後悔の念が自身に駆け巡る。『光の祖国』と『白の祖国』、どちらも私の大事なものではないか。いや、すべての祖国は大切なものだ。そこに暮らす人たちの想いを私はいままで何も感じていなかったのか。



「すまない。わたしは間違っていたのだ。」

すべては自分のために行っていた、それを感じないように自分に念を込めていた。すべては『我が祖国』のためと、ずっと逃げていた。隠して逃げたかった。



「いつから気が付いていたの。」

私は力なく言葉を探す。まるで悪魔の所業であった。彼女はやさしく言葉を紡いだ。



「ねねと同じよ。」

少しずつ、彼女の輪郭がなくなっていく。光の粒となり、夜空へ消えようとする。私の手から離れて、天使のように空へ行ってしまう。軽くなりつつある右手で彼女を探そうとするがもう消えていた。私の目には彼女がほほ笑んでいたようにみえた。



力なく膝をつく、わたし。

それが例えではないことが自分でも分かってきた。最終法典では自身の力の限りを尽くす。たとえ、力を使い果たそうともまだあると信じ、力を使う。それは命を自らが削っていく、無常な理。相手を消すと同時に自分を消してしまう危機がある。私は紙一重のところでかわしていた。寸前のところで、耐えていた。それが幸運なのか、不幸の始まりなのかは今ではよくわからない。



夜が明けていく、月がかわったことを知らせるように陽が昇ってゆく。今は4月となった。そう、私の誕生月がきた。なぜ、このときがもっと前に来なかったのか、なぜ私は大切なものを失っても生きているのか。私はなぜ笑っているのか。わからない。



「紫華(しのか)」

ふいに自身の本来の名を呼ばれた。なぜかと初めは分からなかった。それは当然のことなのに不思議な感じがした。我が友、大切な人が横にいた。



「晃(ひかる)さま」

私は手をつき首を垂れる。深々とお辞儀をして、私の夫である彼の人を見る。久しぶりの夫婦での会話は懐かしさを感じた。「卯月」と「皐月」との呼び合いはもうなくてよかった。私は最終法典の任を解かれた。もう、ファントムとして夜空を舞うことはなくなる。相手を消すことに執念を燃やすこともなくなる。いくつのものファントムを消してきた罪人と英雄。すべてが終わった私には何が残っているのか。



のちの人々には私はこう呼ばれている。



『我らの皇女』



鵬王院紫華の手記より



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