第1話 片思いの始まり

 伊藤君に告白しよう・・・・。

 私は、ラブレターと持って渡そうとした時に、青葉ちゃんに声をかけられた。


「赤音ちゃん、ちょっといいかな?」


「青葉ちゃん」


「あたし、井藤君のことを好きになっちゃったの」


 その時、私は親友と好きな人がかぶって気まずくなってしまったけれど、ここは平常心でいよう。


「そうなんだ・・・。


よかったね」


「これから、井藤君に告白しようと思っているから、なるべく二人きっりの時間がほしいな」


「いいよ。


青葉ちゃんに、やっと好きな人できたんだね。


おめでとう」


「うん、ありがとう。


ところで、赤音ちゃんは井藤君のことを好きだったりとかしないの?」


「全然、そんなことないよ」


 親友に嘘をついてしまった罪悪感があったけれど、青葉ちゃんの恋を応援したい気持ちの方が勝ってしまった。


「そう、よかった。


あたしは、これから井藤君とイチャイチャするから」


 こうして、青葉ちゃんが去っていったけれど、私には疎外感しかなかった。

 どこで、間違えてしまったのだろう?


 青葉ちゃんは、男の人が苦手だから大丈夫だろうって思っていたのに。

 まさか、同じ人を好きになるなんて思わなかった。


 私が何もできない間に、井藤君と青葉ちゃんは仲良くなっていった。


「赤音ちゃん、聞いて?」


「なあに?」


「今日から、あたしと井藤君は付き合うことになったの」


「そう、よかったね・・・・」


 青葉ちゃんは笑顔だったけれど、私は絶望感でしかなかった。


「どうしたの?


赤音ちゃん、顔色よくないけど」


「ううん、なんでもない」


 この気持ちには、蓋をしよう。

 井藤君を好きになっても、私が辛いだけ。


 中学1年生の春、井藤君と青葉ちゃんは晴れて、カップルになり、校内でも噂になるくらいだった。


 ところがある日、青葉ちゃんが真っ青な顔で家にやってきた。


「青葉ちゃん、どうしたの?」


「変な女の人に付きまとわれていて、困っているの。


誠君とデートしている時に、唄っていう、誠君のお姉さんが後をつけてきて・・・・」


 よくわからないけど、こわそう。

 気がついたら、誠君なんて下の名前で呼ぶんだ・・・・。


 青葉ちゃんからよく話を聞いた上で、私は唄という、井藤君のお姉さんに文句を言いに行くことにした。


「あの、あなたが井藤誠君のお姉さんですか?」


「そうだけど、あなたは誰なの?」


「ただのクラスメイトです。


それより、親友が後をつけられて困っていると聞いたのですが」


「あの青頭の、東海青葉のことかしら?」


「青頭なんて、一言いりません」


「ふうん、まあいいわ。


あなたは、弟が好きだったりしない?」


「絶対にそんなことありません」


「なら、いいわ。


大丈夫よ、あなたのことは巻き込まないから。


井藤誠を好きにならなければね」


 そう言い、唄さんは去っていった。

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