第一怪聖剣使いと魔剣使い③


王瀬透秀吉は、米国の軍人のデッドマン大佐と会っていた。


かつてはスレンダーマンとして外国人恐怖症ゼノフォビアになっていたのだが、今では、何も恐れる事なんて、どこにもなかった。威風堂々、全てを超越した覇気に満ちていた。


「………君は生粋の日本人だったが、荒井の娘に手を出そうとしたのはまずかったな、まるで、コマンドーのベネットの方に感情移入してしまったようだ、不思議な事ではない、カリギュラ効果というのもある。無意識のイドでは破壊衝動のブレーキはあまり効かない事がある、遊戯王では超魔神イドというカードがあるらしいな」


デッドマン大佐、公式上では、名無しの死体ジョン・ドゥと扱われる情報戦、諜報部隊隊長スパイコマンダーとして、誰にも知られる事がない。


歴史の教科書だろうと、国の白書だろうと黒書だろうと、関係がない。


情報戦、米空軍の定義によれば防勢的な対情報活動は戦略的防空作戦と同様に常に実施されており、その意味で常に情報戦は遂行されている、としている。その一方で攻勢的な対情報活動は電子戦、心理戦、軍事的欺瞞など様々な活動を総合したものである。段階的に発展するものと考えられており、底度のものから順に挙げれば、まず偽情報やプロパガンダの流布、指揮統制中枢や情報発信源の物理的な破壊、コンピュータ・ウイルスの投入、ハッカーによる不法アクセス、ハッカー・コンピュータ・ウイルスによるデータに対する改竄・破壊もしくは電磁パルスによる物理的破壊、と考えられている。軍事心理学だろうと暗号学だろうと最終的な終着点は戦争のためだ。


そういう終点にたどり着くための段取り、情報を知らず、無策で敵に立ち向かうのが許されるのは、ゲームの中の世界だけであり、SRPGとMOBAが百歩譲っていいだろう。王瀬の企業においては、そういう部門開拓は進められていない。


大艦巨砲主義というのがある、しかし、それでは、無価値である。


闇雲に神風よろしく特攻する、それによって致命的な作戦失敗をする事もある。


電子戦や心理戦、プロパガンダを含める場合、その歴史は古い。 1940年5月、ナチス・ドイツのフランス侵攻では、ドイツがフランス側に偽電話をかけて情報を混乱させる後方攪乱を行っている。もしくは、忍者の歴史ならば、五車の術がある。人間の喜、怒、哀、楽、恐、の5つの感情を利用した交渉術である。


そういうのは、今でも大衆文化にも根付いている。


根来正晴とは、公安での偽りの名コードネームであり、それもまた王瀬透秀吉の社会的側面ペルソナだ。


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