結婚っていいものですか？ 3人用台本

第1話 結婚っていいものですか？

【登場人物】

後輩：２８歳。水野さん。２年付き合っている彼氏がいる。

先輩１：３３歳。吉田さん。結婚して３年。

先輩２：３４歳。後藤さん。吉田さんとは同期で友達。結婚して５年。

0：会社のお昼休み、食堂にて。

後輩：せんぱ～い

先輩１：あら、おつかれ

後輩：お疲れ様です・・・

先輩１：あれ？どうしたの？なんか元気ない？

後輩：あ、わかります？

先輩１：目の下、クマができてるよ

後輩：最近眠れなくて

先輩１：あらあら、悩みごと？

0：先輩２登場

先輩２：お疲れ。ここ、席空いてる？一緒にランチしていい？

後輩：お疲れ様でーす

先輩１：どうぞ～

先輩２：・・・あれ？水野さんなんか元気ない？

後輩：え？先輩にもわかっちゃいますか？

先輩２：うん。いつものパッチリアイメイク、心なしか薄い気がするし。あと目の下のクマがすごい

後輩：そんなにできてます？クマ

先輩２：うん。徹夜でもした？

後輩：徹夜はしてないんですけど・・・最近眠れてなくて

先輩１：何か悩み事？

後輩：えっと・・・お二人は結婚されてますよね？

先輩２：ん？うん、してるよ

先輩１：それがどうかした？

後輩：結婚って、いいものなんですか？

先輩２：どうしたの急に？

先輩１：結婚の予定でもあるの？

後輩：最近、彼氏のパソコン借りたんですけど、検索履歴に「エンゲージリング　予算」って出てきて

先輩２：あら、めでたい

先輩１：近々プロポーズされちゃうんじゃない？

後輩：はぁ、多分・・・

先輩１：あれ？嬉しくないの？

後輩：嬉しいは嬉しいんですが・・・その・・・私の周り「浮気された～」とか「もう男として見れない～」とか言ってる女性が結構いて・・・このままプロポーズされても素直に頷けるかどうか自信がなくなってきちゃって

先輩２：あらま。マリッジ前ブルーか

先輩１：今の彼氏とは結婚考えてないの？

後輩：私も今年２８歳ですし、彼とも２年交際してますから考えてないって言ったら嘘になりますけど・・・でも、夫婦って未知すぎてわかんなくて

先輩２：なるほどね

後輩：結婚って、いいものですか！？

先輩２：そうねぇ

先輩１：じゃあ私の友達のカップルの話をしてあげようか

後輩：え？

先輩１：結婚して５年経った、ある一組のカップル。夫のほうは飲み会大好き人間。結婚前までは終電を過ぎても飲めるだけ飲んでタクシーで翌日帰宅、なんてこともザラだった人

後輩：のんべえですね

先輩２：ちょっとそれ

先輩１：飲み会大好きっぷりは未だ健在。けれど、終電に間に合わないような帰宅はしなくなった。嫁に「終電でちゃんと帰ります！」とラインで報告してくるようになった

後輩：ほうほう

先輩１：変わったわね、と思いつつ、嫁が「帰らなきゃだからですか？それとも帰ってきたくなるから？」とからかいつつも少し意地悪なラインを返すと・・・

後輩：返すと・・・？

先輩１：その後３０分ラインの返信が無し

後輩：え～？

先輩１：その３０分の間に「私変なこと打ったかな？冗談だったのになんか傷つけたかな！？」と私にラインをしつつ、もやもやしていたお嫁さん。しかして３０分後・・・

後輩：３０分後

先輩１：「帰りたいから帰るんだよぉぉ」とハートマークいっぱいのラインが届く。返答に困ってたんじゃなくて、電車の乗り換えでラインに気づかなかっただけってオチ。ちなみに、そのラインで小躍りしてソファの上でぴょんぴょん跳ねた挙句「うちの夫可愛すぎる！！」とライン電話をかましてきたのが、今ここでご飯食べてる後藤っちだったりする

後輩：えー！？後藤先輩が！？

先輩２：やっぱり私の話だったわね

後輩：えええ！？先輩ってめっちゃ可愛いんですね！

先輩２：どこに可愛い要素があったのよ

後輩：全部可愛いですよ！結婚して５年経ってもラインの返信に一喜一憂するところとかソファの上で跳ねちゃうところとか！

先輩２：あーもう、言わなくていいっ

先輩１：照れちゃって～ほんと可愛いよねぇ

先輩２：吉田・・・わかった水野ちゃん。私も一つ、小話してあげる

後輩：へ？

先輩２：結婚して３年、未だにおはようとおやすみといってらっしゃいとお帰りのチューを欠かしたことの無い夫婦の話

後輩：ラブラブですね

先輩２：そう、ラブラブ。妻のほうは夫の顔、特に寝顔が好きすぎて隙あらば隠し撮りをし、年に一回、夫の写真集を作ってる

後輩：夫の写真集！

先輩２：タイトルは「寝る子は育つ」。もう育たないっつーの！・・・今年で３冊目になったその写真集には妻が一年間隠し撮りし続けた夫の寝顔がびっしり詰まってる

後輩：愛がすごい

先輩２：夫は夫で、結婚記念日はもちろん、付き合った記念日から入籍記念日、誕生日クリスマスバレンタインホワイトデー毎回欠かさず贈り物をしてる愛妻家

後輩：すごっ！え、結婚記念日と入籍記念日別なんですか！？

先輩２：役所に届けを出しに行った日と結婚式を挙げた日を別日にしたんだって

後輩：にしても、３年間それってすごいですね！というかバレンタインは女性から贈るものでは…？

先輩２：もちろん妻のほうもチョコレートを用意してる。だけどそのチョコは毎年「半分こで食べようね」って言ってわけっこして・・・というか９対１くらいで妻のほうに食べさせてあげてる

後輩：わーお。旦那さん、実は甘いものが苦手とか？

先輩２：いーや？自分で買って食べるくらいには大好き。だけど「半分こにした方が美味しいんだもーん」と好物を次から次へと妻の口に放り込むんだって

後輩：激甘じゃないですか

先輩２：そ。しかも旦那さんのバレンタインは海外式の、男性から女性に花を贈るタイプのものらしく、毎年バラやチューリップをプレゼントされるんだって

後輩：えーいいな～いいなぁ

先輩２：その妻の最近の悩みは「あの人がいつも私に多く半分こするから全然痩せられないの！」・・・だったわよね、吉田～？

後輩：えっ

先輩１：・・・そうねーおかげでちっとも体重減らないわ～

後輩：えええ！？今の吉田先輩の話～！？先輩、旦那さんの寝顔写真集作ってるんですか！？

先輩１：だって・・・可愛いんだもん

先輩２：結婚して３年、まだまだ飽きずに惚気てくるのよ？

先輩１：後藤っちだって惚気かましまくるじゃない！

先輩２：ええ？私はそんなことしてないわよ～

先輩１：してるわよ～！自覚無いのが余計タチが悪いのよ！

後輩：・・・お二人は、結婚してよかったんですね

先輩２：んーまあ？旦那には恵まれてると思っているよ

先輩１：家事率先してやってくれるしね

先輩２：そうそう。あと、ちょっと怒ったらすぐ折れてくれるから喧嘩にならないし

後輩：そっか・・・結婚してもラブラブな夫婦もいますよね？私、少し自信が付きました

先輩１：・・・そう？だったらよかったわ

先輩２：まー長い人生、一回くらい結婚しといてもいいんじゃない？だめだったら別れればいいだけなんだし

先輩１：そうそう。３組に１組が離婚するこの時代、離婚も結婚も書く紙が違うだけなんだから、覚悟とか自信とか要らない要らない。もっと気楽に考えましょ

後輩：はい！ありがとうございますっ！・・・あ、私そろそろデスクに戻ります、お二人のお話聞けて良かったです！

先輩２：はいはーい、いってらっしゃーい

0：後輩退場

先輩２：ま、その前にちゃんとプロポーズされるかどうかって話なんだけどね

先輩１：あら黒いこと言うのね

先輩２：だって、検索履歴だけなんでしょ？わかんないじゃない

先輩１：まあ、なるようになるでしょ。結婚しようがしまいが別れようが死ぬわけじゃないし、私が水野ちゃん可愛いのは変わんないし

先輩２：えーでも寿退社しちゃうかもよ～？

先輩１：それは少し寂しいなぁ。もっと夫婦って難しいよって話しとけばよかった～？

先輩２：あら、不満あるの？

先輩１：そうねぇ・・・街でカッコいい男性見かけてもフラフラできなくなったこととか？

先輩２：贅沢な悩み

先輩１：だよね。大丈夫、家にたーくさん「可愛い愛してる」を言ってくれる人が帰ってくるから、浮気はしません

先輩２：ですな。さ、愛する夫のため、午後も頑張りますか

先輩１：だね！