僕の村
シジョウケイ
僕の村
祭りは好きだ。赤く連なる提灯、空腹を誘う香りを漂わせる屋台、笑顔の人々。昔ながらの伝統が残るこの村では、今でも地元の人々が一斉に集う祭りが行われる。皆が非日常の中で笑顔になれる時なのだ。
腕時計に目を落とすと時刻は17時。刺すような日差しを放射していた太陽が地平線に飲み込まれんとする黄昏時。祭りは折り返し、フィナーレの花火に向けて熱を上げ始める時間だ。
僕はふと遠くに見える2本の煙突に目を向けた。最後に煙を上げたのはいつだっただろうか。炭鉱業を失ったこの村は来月、ダムの中に沈む。
僕の村 シジョウケイ @bug-u
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