楽しい異世界生活

killing

怠惰

佐藤勝さとうかつはベッドの上でスマホを弄っていた。今日は土曜日であり、学校は休みである。24歳大学生、そうつまり彼は浪人もしくは留年している。詳しくは一回ずつだが。


(つまんねぇなぁ・・・)

午後7時、彼は一日中スマホを弄っていた。何も情熱がなく惰性で指を動かしているだけである。


(今年卒業なのに就活とか何一つやってないし、俺これからどうなるんだ?)

怠惰に過ごしている分、何か目に見えないが溜まっている感覚がある。この負債を直視するのが怖くてスマホに現実逃避してしまう。そしてまた負債が溜まっていくという負のスパイラルが起こっている。


(死にてぇなぁ・・・)

もちろん彼に死ぬ気などない。本当に死ぬ気なら既に死んでいるからだ。つまるところ彼は現状を打破したいのだ。そして救われたい。そう願っている。しかし行動に起こせない。年齢だけが積み上がっていき、自分の可能性が狭まるのを感じながら焦燥感にまみれても何もできない。


(24歳が今更頑張ったところで何も挽回などできないんだ・・・もう何もかも取り戻せない。)

彼は自暴自棄になっていた。理想の自分から乖離した現実を受け止めることができない。


(寝ているときに隕石でも落ちて楽に死にてーな・・・)

ーーーどこまでも他力本願である。


しかし、勝は今夜大きな転機を迎えることになる・・・









「あ?」(なんだここは?)

気づいたら森の中にいた。




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