第13話 はさみ将棋

ルール

・盤面が5×5のはさみ将棋

・コマはそれぞれが3つずつ持つ。

・1つでもコマを取られると負け。

・勝者は賞金5000万円。敗者は死。

・持ち時間は1分、それ以降は1分ごとに1000万円の負債。

負債がある状態で死亡した場合は、近親者が代わりに債務者となる。


***


15巡目先攻△終了時


――――――――― 

□ □ □ □ ▼

▼ □ ▼ □ □

□ △ □ △ □

□ □ □ □ □

□ □ □ □ △

―――――――――

後攻▼シメジ

先攻△トマト


***


「ふん」


パチッ


シメジが鼻を鳴らして、コマを進めた。


――――――――― 

□ □ □ □ ▼

▼ □ ↓ □ □

□ △ ▼ △ □

□ □ □ □ □

□ □ □ □ △

―――――――――

トマト、手を振り上げ、叫ぶ。

「やったー!まぬけ!これで、わしの勝ちじゃ!」





しばし、沈黙


「トマト様の番ですよ?」




「いや、シメジのコマ▼が、わしのコマ△にはさまれておるじゃろ」


急にシメジが腹を抱えて笑い出す。


「ぶっはっはっは。あんた、知らなかったんだな!自分から飛び込んで、間に入るのは、取られないんだよ!」


え?なんじゃそんなルールだったのか?

スタッフの顔を見る。


「さようでございます。この場合のように、自分から間に入った時は、コマは取られません」



「そんな!そんなルールだったのか!?知らんぞ!わしは!」


そして、みるみる顔が青ざめていくのがわかった。


ルールを知らなくて、恥をかいたからじゃない。


負けが確定してしまったからだ。


この盤面。

――――――――― 

□ □ □ □ ▼

▼ □ □ □ □

□ △ ▼ △ □

□ □ □ □ □

□ □ □ □ △

―――――――――


この状況、次にどのような手を打っても負けてしまう。


冷や汗が頬を伝う。




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