第9話 死地枚ババ抜き
「うわぁぁぁぁ」
叫び、暴れるライトさんを、スタッフが数人がかりで奥の部屋へと連れて行く。
「えっと、あの人はこの後…」
言おうとして、スタッフに制止される。
「ライト様が、この後どのようになるのか。詮索はおやめください。ルールを執行するのみです」
そっか、それ以上はやめて置こう。
そして、きっと彼の大切な人も2000万円の負債を負うのね。
「では、賞金ですが、5000万円から、ジョーカーを引いたときの2000万を引いて、3000万円となります」
アタッシュケースに入れられた現金を見て、手が震える。
「ありがとうございます」
これだけあれば、会社にお金を返して、出会い系で知り合ったあの人にもお金が返せるわ。確か…サトウフミヤさんだったかしら。まだ、連絡先残ってたかな。
帰ろうとすると、赤いネクタイのスタッフが私を呼び止めた。
「キノコ様。もしよろしければ、次回も参加されますか?」
「え?次もあるんですか?」
「はい、1週間後に。ルールは少し変わるので、この招待状に書かれているルールを読んでから決めていただいてもかまいません」
と言って、1枚の紙を差し出してきた。
私は、それを見ずに、
「いいえ。もう十分です。これからは、まっとうに生きたいと思っているので」
と笑顔で返した。
「そうですか。では、またどこかでお会いできるのを楽しみにしています」
赤いネクタイのスタッフは笑顔で見送ってくれた。
「私は会いたくないけどね」
こころの中で思った。
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