机の向こう。アンプラグドゲーム。
TN太郎
第1話 リバーシ
招待状には、ゲームの期日とルールが書かれていた。
ゲームのルール
・内容はリバーシ
・敗者は死、勝者は賞金5000万
・盤面の角を取ると、場所代が発生。1つにつき2000万の負債。
これは、敗者となり死亡した場合、近親者が代わりに債務者となる。
・持ち時間は1手につき2分。それ以降は、1分につき、1000万の負債。
***
「つまり、角を二つ以下に抑えて、勝利すれば1000万のプラスで帰れるということか」
「そうです。とうふ様。この条件でゲームを開始します。対戦相手のニックネームはムーン様です。ご健闘を祈ります」
黒ネクタイのスタッフが、丁寧に説明してくれた。
とうふ様というのは、俺のことだ。本名ではない。
本名はサトウフミヤだ。『とうふ』というのは、このゲームに参加するためのニックネームだそうだ。
目の前のドアが開く。
俺の人生をかけたゲームが始まる。
***
そもそも、このゲームに参加することになったのは、出会い系サイトで、出会った女の子に、貯金を全て持ち逃げされた挙げ句、借金までして買った外車も持って行かれてしまったからだ。
にっちもさっちも行かなくて、自殺を考えていたところ、ポストにこのゲームへの招待状が入っていたのだ。
***
無機質な部屋に裸電球、簡素な机と椅子。
目の前にリバーシの盤。その向こうに座るのが、対戦相手のムーンだ。
眼鏡をかけたお下げの女の子。年は、20代前半ぐらいか。
どうして、こんなゲームに参加する事になったのか。
余計な詮索は辞めておこう。
どちらかは、ここから生きて出られないのだから。
スタッフが、盤の横に座る。審判をするようだ。
「それでは、ゲームを開始します。先攻、ムーン様。後攻、とうふ様」
「あ、ゲームの前に聞いてもいいですか」
「どうぞ、ムーン様」
「角を取って、負けてしまった場合、その・・・うん千万の負債を負う近親者って誰ですか?」
「私どもが調べた結果、ムーン様は、父親とは死別、母親と年の離れた弟がいらっしゃいますね。しかし、母親は、今病気のため、長期に入院しているので、弟様に負っていただきます。働いて返すなり、何かを売っていただくことになるかもしれませんが、ご心配なく。そうなったときには、ムーン様はこの世にはおられません。」
「そんな・・・」
・・・俺の場合は、どうなんだろう。怖くて考えたくもないから、聞かないことにした。
「それでは、始めましょう。先攻のムーン様から、どうぞ」
0巡目。
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□ □ □ ● 〇 □ □ □
□ □ □ 〇 ● □ □ □
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先攻●ムーン
後攻〇とうふ
ゲームのルール
・敗者は死、勝者は賞金5000万
・盤面の角を取ると、場所が発生。1つにつき2000万の負債。
これは、敗者となり死亡した場合、近親者が代わりに債務者となる。
・持ち時間は1手につき2分。それ以降は、1分につき、1000万の負債。
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