彼氏を埋めて友人を手に入れた話 4人用台本
ちぃねぇ
第1話 彼氏を埋めて友人を手に入れた話
【登場人物】
環、渚(埋める女たち)
亮、健(埋められる男たち)
(表記:Mは心の中の声、Lはラインの会話のつもりで演じてみて下さい。)
0:喫茶店で彼氏の亮を待つ環のもとへ、亮から電話がかかってくる
亮:あー…もしもし、環?
環:亮!やっと連絡してきたわね。また寝坊?
亮:まあそんな感じ
環:あんたねぇ。約束の時間からもう1時間以上経ってるのよ?今まで何回電話したと思ってるの?
亮:まぁまぁ、そんな怒るなって
環:怒るわよ!毎回デートの度に遅刻してきて
亮:わかったわかった、奢るからさ!ほら、そこのショートケーキ好きじゃん?食べて待っててよ!
環:はぁ?ケーキ?
亮:じゃ、あとで!
環:え、ちょ!……切りやがった、嘘でしょ…。あいつの遅刻癖、いい加減なんとかしないと…
0:とそこへ隣の席の客の話し声が聞こえてくる。
渚:ねえ、どういうつもり
健:いや、その
渚:あんた、浮気はもう二度としないって言ったよね?誓ったよね?部屋にあったこのピアス、誰の?
健:えっと、その…妹の?
渚:何その疑問形。あんた1人っ子じゃん
環(M):うわぁ…修羅場?てか彼氏、嘘下手か!
健:あ、ちが、友達の!友達の妹の!友達が妹連れて急に押しかけてきて
渚:ふーん?友達の妹まで一緒に家で遊んだんだ?同棲してる私たちの家で?
健:そ、そうなんだよ!急で断れなくてさ!
渚:私に何の連絡もなく?事後報告もなく?
健:言うの忘れてて!ほんとごめん!
渚:なんだそっかぁ~
健:ホントごめんな?
環(M):え、丸く収まるの?無理じゃない?
渚:誰が来たの?
健:え?
渚:庄司くん?啓くん?家に上げて遊ぶくらいだもんね?私の知ってる人だよね?誰?
健:あ、いや
環(M):だよね、突っ込むよね
渚:あー庄司くんも1人っ子だったよね?啓くんにはお姉さんとお兄さんしかいなかったと思うけど?
健:えっと…渚の知らない友達!最近出来たんだ!
渚:ふーん?どこで?
健:へっ?
渚:会社行く以外ほぼ外出しないあんたが、いつ友達なんて作ったの?
健:えっと…あ!ネトゲ!
環(M):あっ!て何!
渚:ネトゲ?
健:ほ、ほら、俺最近ゲームハマってるじゃん?そのゲームで友達出来てさ~チャットしてたらなんか近所に住んでるって言うから、今度遊びに来いよって言ったらほんとに来ちゃって
渚:会ったこともない人をホイホイ家に呼んだの?私に断りもなく?
健:冗談のつもりで言っただけなんだよ~
渚:冗談のつもりで住所を公開したの?あと急に押しかけて来たんじゃなかったの?
健:いやその、俺は機会があればどうぞ~的な意味で言ったんだけど、その日たまたま!ものすごーく近所にいるから寄ってく、とか言い出して
渚:それで?その人、初対面のゲーム友達の家に自分の妹まで連れてきたの?突然?予告なしに?
健:そ、そうなんだよ!「今ちょうど一緒にいたから連れてきた」とか言われてさぁ!あいつにも困ったもんだよな!
環(M):その言い訳でこの局面を切り抜けられると思ってるの?というか自分の住んでる家に連絡も無しにそんな人呼ばれたら、浮気じゃなくてもムカつくわ
渚:ふ~ん?…で?その困ったお友達の名前は?
健:え?
渚:ほら、このピアスも返してあげないといけないし?彼氏がお世話になりました~ってご挨拶もしなきゃだし?教えてよ、友達の名前
健:えっと…ほら、ゲーム内のハンドルネームで呼び合ってたからさ!実は俺も本名知らなくて
渚:そんな怪しい人を家に呼んだの?
健:軽率だった!ごめん!
渚:で?その人のハンドルネームは?
健:えっ
渚:ハンドルネームならわかるんでしょう?あそうだ、あんたのやってるゲーム、私にも教えてよ。んでその困ったお友達とも直接やりとりさせてよ
健:えっ、えと、それは……あぁ!なんか俺腹痛くなってきた!ちょっとトイレ行ってくる
環(M):このタイミングで!?
渚:いいわよ~いってらっしゃい
環(M):送り出せちゃうの!?彼女肝っ玉座ってる…一瞬顔上げてちょっとだけ顔見ちゃおかな…笑顔こわっ!
渚:ゆーっくりしておいで?その足りない頭でいろーんな事考えておいで?
環(M):ひーっ!余裕の笑みがこーわ!
0:健退場。覗き見していた環、バッチリ渚と目が合う。
環(M):やばっ、見てるのバレたっ!……ってあれ?あの子、どっかで見たことある気が…
渚:(独り言のように)…環?
環:え?
渚:あ。…えっと、環だよね?高校の時同じクラスだった
環:え……もしかして、渚?加藤渚?
渚:うん…久しぶり
環:あ…久しぶり
環(M):このシチュエーションで同級生に再会!?どしたらいいの!?なんで反応しちゃったの私!
渚:偶然だね
環:ソ、ソダネ
環(M):なんにも聞こえてませんでしたぁ~たまたま目が合いました~でいいの?
渚:…聞いてたよね
環(M):無理だよね!絶対無理だよね!
環:…ハイ
渚:反射で名前呼んじゃってごめん。後、変なとこ見せてごめん
環:いえ、お気になさらず
環(M):むしろちょっとワクワクしててごめん!
0:とそこへ亮登場。
亮:いやぁ~悪ぃ悪ぃ遅くなったわ~
環:ほんとだよ!遅いよ!
亮:あ?なんだよ、ケーキ頼んでねぇじゃん
環:ケーキなんて今はどうでもいいのよ
亮:よくねぇよ!
環:え?なんで亮が不機嫌なの?
亮:はぁ…ったく、しゃーねぇなぁ…
環:なにが?
亮:今日が付き合って500日記念日なのはお前も知ってると思うが
環(M):え、知らんよ!何500日記念って!
亮:今日はお前に大事な話がある
環:はい?
環(M):うそうそ、まさか
亮:立花環さん、俺と
環:ちょ!待った待った待った!
環(M):こいつ!この状況で!会っていきなり?まさかのプロポーズ!?
亮:…おい、人の話を遮るな
環:だ、大事な話、なのよね?だったらちょっと…ここじゃなんだから場所変えよ?
亮:はぁ?なんでだよ
環:いいから
亮:よくねえよ。いいから聞けって
環:今は無理!
環(M):どんなテンションで聞けばいいのよ!怖くて渚の方見らんないんだけど!
亮:はぁ?俺様がせっかくこのシチュエーション作ってやったんだぞ
環(M):どんなシチュエーションよ!修羅場背負いながら高圧的な男からのプロポーズって、なにそれ地獄!ってかなんで亮こんなに怒ってんの??
環:えっとね、そういうのは、穏やか~な気持ちで…あ、夜景の綺麗なレストランで聞きたいかなぁ~って
亮:はぁ?夜景の見えるレストラン?そんなの絶対高いじゃん
環(M):ん?高いって値段のこと?
亮:あ?なに、もしかして遅刻のこと怒ってんの?なんだよ、そんなのいつものことじゃん
環:いつものことって
亮:別に炎天下で待たせたわけじゃないし、そんな怒んなくてもいいだろ?俺が遅れるの想定して喫茶店待ち合わせしてんだし。つか、なんでケーキ頼んでないの
環:いやいや!私別に遅刻想定して行動してるわけじゃないんだけど!?亮が毎回毎回遅れてくるから仕方なく時間潰せるところ保険に選んでるだけなんだけど!?
亮:はぁ…
環(M)え?なんで私ため息つかれてんの?私が悪いの?ちょっと腹立ってきた。…いかんいかん、落ち着け私。こんなところで喧嘩したくないし、うん、いったん離席しよ
環:私ちょっとトイレ
亮:あっそ
0:環退場。聞くともなしに聞いていた渚は他人事ながらムカムカしていた。
渚(M):あれ、環の彼氏…だよね?え、遅刻してきた…んだよね?なんであんなに横柄な態度?遅刻が前提の待ち合わせって何?あっそ、って普通彼女に言う?
0:とそこへ、亮に電話が掛かってくる。亮、場所を気にせず大声で通話を始める。
亮:あーもしもし、ママ?
渚(M):ママ!?
亮:(大きい声で)大丈夫、今、環いないから。…うん、うん、えー?わかってるよ、今日決めるつもり。あいつも三十路(みそじ)だしせっかくもらってやるって言うんだから、断るわけないじゃん。つかママ聞いてよ
渚(M):声落とせよ…めっちゃ聞こえちゃうじゃん…まあ、人のこと言えないけど
亮:あいつ、三十路でプロポーズに夢持ってんの、やばくね?夜景の見える綺麗なレストランって、おばさんが何言ってんだって感じ。そんな金掛かるとこ連れてくわけないじゃんね?
渚(M):電話の相手、母親よね?にしてもなんて言い草?プロポーズ位ケチるなよ
亮:せっかく俺様が初めてのデートで使った店指定してやって、わざわざメニューまで教えてやったのに、あいつ全然従わないわけよ。普通500日記念に初デートの店指定されたら気ぃ使ってなぞるよね?
渚(M):なぞるってメニューを?初デート内容を?いやいや、なんでだよ!初デートでなに食べたかなんて覚えてないわよ!大体500日記念ってなにその中途半端な記念日は!意識すらしないって!
亮:絶対プロポーズ意識してるくせにさ~それをちょーっと遅刻しただけでへそ曲げやがって、ほんと可愛くねぇ。ママもそう思うでしょ?
渚(M):プロポーズ考えてる日に遅刻とか、こいつ終わってんな…あ、そうだ
0:渚、携帯の録音アプリを起動する。
亮:大丈夫だって!あいつ俺にベタ惚れだからさ、多少むくれてたって指輪渡せばコロッと態度変えるからさ。…あ?指輪?高かったかって?んなもん社割社割。発注ミスって買わされた売れ残りデザインのクズダイヤ。な?三十路おばさんにはピッタリだろ。つか、あいつにはもったいないくらいだって
渚(M):他人事(ひとごと)ながらぶん殴りたいわね
亮:もちろん、ママの言う通り最初は同居の話しないよ!とりあえず籍だけ入れさせて、最終的になし崩しに同居しちゃえばこっちのもんだって
渚(M):マジもんのクズだこいつ
亮:結婚式?あー、全額出してくれるんなら付き合ってやってもいいかなーほら話したじゃん、あいつの家太いんだよ、いわゆる資産家のお嬢様ってやつ?
渚(M):そういえば環の家って会社経営してたっけ
亮:じゃなきゃあんな売れ残りババア、誰が相手にするかっての!…わかってるよ、逃がす訳ねぇじゃん!なんとしてでもOKもぎ取って無料の家政婦ゲットだぜ
渚(M):確か環の連絡先…やっぱあった。文化祭のときID交換だけしたんだよね…どうするかな…今のボイス送るべき、よね?…ん?え?環からライン?
環(L):さっきは盗み聞きしたみたいでほんとごめん
渚(M):トイレからラインくれたのか。「全然、こっちこそごめんね」っと
環(L):それで、あの…さっきトイレ近くのスペースで渚の彼氏が誰かに電話してて、ちょっと聞こえちゃって
渚(M):うん?
環(L):彼氏さん、女の子に電話してるっぽくて…「恵美ちゃん大好きだよ」「会いたいな」とか言ってて…これ通話相手多分、ピアスの落とし主かなって
渚(M):ほーん?ピアス女は恵美ちゃんって言うのかぁ…この局面で女に電話、ねぇ?舐めてんじゃない
環(L):他人事なのはわかってるんだけど…その、教えたほうがいいのかなぁって…お節介だったらごめん
渚(M):土下座して謝ってきたから一度は許したけど、二度目かぁ…ねぇな。うん、埋めよう。「むしろ教えてくれてありがとう、踏ん切りがついたわ」っと。あそうだ、「私からもちょっといい?」
環(L):なに?
渚(L):環、あの彼氏と結婚考えてる?
環(L):うーん…正直微妙。あの人結構遅刻癖がひどくて、最近じゃあ開き直るようになってきたし
渚(L):私からもお節介焼いていい?
環(L):え?
渚(L):別に止めはしないけど、あんまりおすすめしないよあの男。とりあえずこのボイス聞いて。面白そうだったから撮ってみた
0:2分後。
環(L):ありがとう、ほんとにありがとう。ちょっと沈めてくる
渚(L):私も沈めてくるわ。あ、今日暇?全部終わったら祝杯あげない?
環(L):大賛成
渚(L):それじゃ、席で待ってるね
0:のち環、続いて健が帰ってくる。お互い、相手の男にニコッと笑って。
環:おまたせ
渚:さぁ……始めましょうか?
彼氏を埋めて友人を手に入れた話 4人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207
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