第17話 side リキ
(幹部?この男が?…どう見ても俺より弱そうなんだが…)
何かの動物の皮を被っており顔はよく見えないが、身長は低くくぽっちゃりしている。とても強そうには見えない見た目だ。
(子供を相手にしているみたいで、気分が乗らないが…まぁ、大人の怖さを教えてやるか)
「おい、坊主…」
リキが一歩前へ踏み出すと顔の横を凄いスピードで何かが通り過ぎた。
「俺っちは子供じゃないぜ。あんまり舐めてると痛い目を見るぜ」
「……」
「今のは数滴だけで、象を殺すほどの猛毒が塗り込まれた毒針だぜ。掠りでもしたらそれだけで即ゲームオーバーだぜ。」
(……無理無理無理!やっぱ無理だわ!なに今の?なに毒って?こちとら一般人だぞ!)
「ケケケ、流石はってところか。当たらないと察して全く動じないとは…。これは骨が折れそうだぜ」
「ま、まぁな、全く殺気がのってなかったからな…」
「ケケケ、だが次はそうはいかねぇぜ。お前さんにこの技が破れるかな?」
(や、やべーよ。完全にやる気だよ…調子に乗ってそれっぽいこと言っちゃったけど、ど、どうしよう…今からでも許してくれるかな?)
「食らいな!乱針飛術!」
「ま、まっt…」
ザギは無数にワープを展開し、そこを凄まじいスピードで移動していく。ザギはワープを移動しながら様々な方向から同時とも思えるスピードで一気に針を放った。
放たれた針は吸い込まれるようにリキへ向かい……全てギリギリで通り過ぎた。
(あ、あれ?俺何もしてないけど、全部外れた?あんまりコントロール良くないのかな?)
「バ、バカな…!?肉眼では見えぬスピードで体のギリギリに針を投げることで数ミリでも驚きで動けば針が刺さって猛毒で死に至る。俺の必殺技が!」
「驚く、だと?」
(驚く暇もなく針が飛んできて、動けなかったわ!!)
「ま、まさか!驚くほどのことでもないと言うのか!?み、見えていたのか、俺っちが投げた針が!一度で俺っちの技を見破ったのか!?」
「これで終わりか?」
「っ!」
(よく分からんが、これで終わってくれればありがたいけど…)
「どうやらお前さんに針は通じないみたいだな。だが、このワープは破れないぜ!」
(すげー、何人も居るみたいに見えるわ。…どうせ俺の攻撃当たらないと思うけど、適当にやってみるか。大体こういうのって後ろから来るんだよなぁ〜。)
リキは目を閉じ攻撃の構えを執った。
「ケケケ、目を閉じるとはバカめ!後ろがガラ空きだ!!」
ザギが背後からリキを攻撃しようと手を伸ばした瞬間、思いっきり金的を蹴り上げられる。
「うおおおぉぉぉ!!あ、あぁぁぁー!
玉が玉が…ああああーー!!」
「お、おう。なんかすまん…」
「あ、ああああ!!…ック!」
(たまたま蹴った場所に玉玉があって当たっちゃうとか…なんか、悪いことしたな。)
「も、もう終わりだな」
「…ケケケ、あぁ…俺じゃ、お前さんを倒せないのは分かった。だが!」
ザギがいきなり立ち上がり、様子を見に近づいて来たリキの肩を掴んだ。
「【
ザギが魔法を唱えるとリキの視界いっぱいに青空が広がり、強い浮遊感に襲われる。そして下には、先程まで居たはずの城が小さく見えていた。
「え?空!?なんで!?やばい、落ちてる落ちてる!!」
「ケケケ、俺っちじゃ倒せないがせめて道連れにさせてもらうぜ!」
「おい、やめろ!放せ!男に抱きつかれる趣味はない!」
「ヴィスタ様。気持ち悪いと蔑まれていた俺っちを救ってくれたこと、感謝してます。最後に貴方の敵になり得る存在を倒してみせます。私の命に代えて…」
「やめて!こんな所で遺言言わないで!!」
(くっそ!こいつ全然引き剥がせない…嫌だ!こんな奴と心中なんて絶対に嫌だ!)
雲一つない晴天の青空に抱き付きながら落下していく二人の男の姿があった。
いつも作品を読んでいただきありがとうございます!沢山の方が応援してくださり励みになっています。出来ればこの後もう一話投稿したい(サフィーラ側)と思っています。
これからもフォローや星、いいねなど、応援していただけると幸いです。
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