継ぎ接ぎの体

bbキャンセル君

頭(脳)

他人の頭を貰える、しかも賢い人のなんて

とても素晴らしい。落ちこぼれた家系だからこそ

必要な知性。私の愛しの長女に移植しましょう。


―――ミズワール邸―――――

「どうした皆。そんな怯えて」

家族皆は、出された料理を見て顔を青ざめている。

私は構わず、料理を口に運び美味しいと呟く。

お父様が心配そうにして、食べている料理を取り上げる。

「何をなされているのですか?」

「こんなもの毒だ。食べてはいけないよ。これ家政婦さんこれはどういうことかね?」

呼び出された家政婦は、困惑の表情で、といいますと?

と聞く。


皆がもう一度料理を見る、そこには確かに

口では言えないようなグロテスクな見た目の料理だった。


「ちょっと!!!!!ふざけないで!」

次女が叫ぶ。

「まあまて、アリス。お前のせいだね。アクリス、おやめなさい!」

母が怒鳴ると、不気味に口角を上げる。長女のアクリス。

パチンと指を鳴らすと、グロテスクな見た目の料理から、美味しそうな、ステーキなどの料理が現れる。


これが本来出されていた料理。


「あははっ!ごめんごめん。皆頭弱いねぇー。ほんっといじめて楽しいよ!」

狂気な笑みを貼り付ける。


そう彼女は変わってしまったんだ。

優しかった女性は、家系を復帰させた代わりに、

頭の持ち主に寄生され、今では別人。

しかも能力まで授かった。

認知を操る能力。

それが彼女の力。


時々戻る時はあるけれど、ほぼほぼ

別人だ。


今の権力は彼女にあり。


皆食べ終わり、トテトテとお姉様に近づく一人の少女。

「アクリスお姉様。本読んで・・・・たまには遊んで」

寂しそうに告げる妹を、彼女はああ。いいよと笑顔で言った。

「ほんと!?ありがとうお姉様。やっぱりお姉様は昔のお姉様だ♪」


そんな彼女の隣を、長女は何食わぬ顔で通り抜ける。


その後ろでは、絵画に話しかける、妹の姿がいた。


ギィーと扉を開けると、天井の窓ガラスから月明かりが差し込み

父が座る玉座を照らしていた。

「・・・・どけ、邪魔だ、お父様」

父に詰め寄ると、急に抱き寄せられた。

「アクリス・・・・ごめんな。本当にごめんな」

同じ事を繰り返して涙を流す。

地面に散らばる、寄生虫や取り出し方とか

下らない本ばかりが錯乱している。



「私は私だ。謝ることはない。ただ私・・・俺は驚いただけだ。まさか己の遺体を移植される事となるとは・・・・・安心しろ、彼女はまだ生きている」


「!!本当か!?」

「ああ」

「どうすれば、戻るんだ?」


「残念だが、それは知らない。提供者に聞け」


「ああ、分かった」


早速父は玉座から立ち、デスクに向かい、この事を紙にメモった。

きっと明日に連絡する筈だ。


勝手にしろと思ったが、残留思念に一瞬支配され、記憶が飛ぶ。


「私がなんとかするから、お父様は何もしなくても良いよ」

「えっ?」

と父は驚きの表情で振り向く。

意識が戻った俺は咄嗟に口を押さえ、その中では、歯をギリッと食いしばる。

ドンッと玉座に座った俺は、月明かりは雲で隠れ、顔が見えない。

暗い夜だけが訪れた。


その中で、父の思考を操り、この部屋から黙って出て行かせた。


静まりかえる玉座で、怒りの言葉を叫ぶ。


「誰だよ・・・俺のを持ってたやつ!!見つけ出して殺してやる!

絶対に殺してやる!死ねたと思ったのに!こんな世界生きたくないのに!!!!!」


怒りの感情に身を任せ、彼は彼の道へ歩んでいくだろう。


ミズワール邸エンド。



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