孤独くんと天才姫

バニショコ

第1話 なんか変

 世の中は不平等である。そして理不尽である。

 これは誰しもが思ったことがあるだろう。そんな不平等な存在が身近にいる。

天才姫てんさいき』、有栖院茜ありすいんあかね。頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗。ブロンドヘアで抜群のプロポーション。天が二物も三物も与えた存在だ。しかもコミュニケーション能力が非常に高く男女ともに人気がある。ほぼ常に近くには誰かがいる。そんな完璧超人はまさしく不平等な存在。



 とは言っても僕、神川陽翔かみかわはるとにとっては関係のない話だ。僕は友達が誰もいない。中学の頃の知り合いなんていないから当然話す相手なんていない。そんな僕をクラスの人は『孤独くん』と呼んでいる。



「茜ってすごいモテてるよね~」

「それも全部断ってるんでしょ~」

「好きな人とかいるの?」

「好きな人なんていないよ~」

 教室の隅っこで話し声が聞こえる。どうやら有栖院さんたちが話しているらしい。ちらりとそっちを見る。どうやら有栖院さんの恋バナ(?)をしてるらしい。

「この前なんて野球部のキャプテンに告られたんでしょ!」

「まじ!その人ってこの学校でも人気者の一人じゃん!」

「でもなんかピンとこなかったのよ」

「茜ちゃんの理想高すぎたよ~」

「もうこの学校にはいないんじゃない?」

「どうなんだろうね~」




 この会話を聞いてわかる通り有栖院さんは、モテる。そりゃ当然だ。こんな完璧美少女を彼女にしたいと思うのは当然だろう。俺は思わないけど。もうすでに玉砕者はすでに100人は超えるらしい。その中にはさっきのようなこの学校でも指折りのイケメンもいるらしい。もう彼女と付き合えるのはこの学校にはいないのではないかと言われるほどだ。



 そんな僕は有栖院さんを見ていると思うことがある。

「なんか変」だと。

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