鏡
【京都人】内田ミヤコ
第1話
私はみんなから愛されてます。特にお姉ちゃんには。
私はみんなから愛されてます。……嘘嘘。1人だけ、私だけは私を愛していません。
私は今日も学校でたくさんの嘘をつきました。
ねえ、あなたお姉さんと仲良いわよね!うん、お姉ちゃん大好きなの!嘘です。別に普通です。
ねえこの髪留め可愛くない?ほんとだ、可愛いー!いや、何も思いません。
みんなと話すとどきどきしてしまいます。いつ、嘘だとバレるんだろう。みんなはこんな事きっと考えてないんだろうな、正直に生きてるんだろうな。
でもそうしなきゃ、みんな私を好きでいてくれない…。
毎日友達とたくさん話して楽しい。これは本当の気持ち。学校の帰り道、友達と別れて私一人になると、吐きそうになるときがあります。気持ち悪くて。…ここに、大嫌いな私しかいないと思うと。
家に帰ると、姉がいました。とても綺麗な笑顔です。
ただいま…私は姉の顔をまともに見れず自分の部屋に向かいました。すると。
ねえ、ねえ。姉は優しく笑いかけなが、あとについてきました。うっとうしい。
何?姉は仮に理由なく殴っても私を嫌いにならないので私は姉には気を遣いません。
姉は私に鏡を渡しました。
ほら、みて。私の可愛い妹。鏡に私を写して姉はいいます。こんなに可愛いの。あなたもあなたにもっと優しい言葉をかけてあげて。
私は黙って鏡を受け取って自分の部屋にはいりました。
翌朝から、私は自分の部屋にある姿見に映る私に毎日出かける前にエールを送るようにしました。
私は可愛い。
今日もきっと色々あるけど、平気。うん、私、ファイト。私、私、ファイト、おー!…よし。
毎日。。。。好きでもない人に好きと言っても。
毎日。。。。可愛くないものに可愛いと言っても。
毎日。。。。疲れていても。
毎日。。。。私の事がきらいでも。鏡の私を応援しました。
学校から帰ったある日。その日は特に疲れていて、家族ともあまり話したくありませんでした。
部屋に戻ると、姿見に映った私と目が合いました。鏡の中の私は笑ってました。
なぜ…?
私は悲しいのに。怒ってるのに。なぜ笑ってるの?
ガシャン!
鏡の私の顔が歪みました。
一瞬何が起こったかわからなかったのですが、、、痛っと思って手を見ると、手から血が流れていました。私が鏡を割ったんです。
歪んだ鏡の私の顔が気に入らなかったのでさらに殴りました。バリバリと音を立てて、鏡が床に散らばりました。
少し、気が楽になりました。
それから私は気に入らない事があると、自分の映った鏡を割るようしています。
相変わらず私は私が嫌いですが、時々こうして痛めつける事で私と付き合っていけそうです。
私は私以外から愛されてます。私の事は嫌いですが……しょうがないから私とずっと一緒にいますね。
鏡 【京都人】内田ミヤコ @uttixi
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