ランカーズエイジ ~謎の魔物と戦う少年少女たちの物語~
朝倉牧師
第一章 ランカーズ編
第一話 日常的な俺たちの戦闘風景
今日は二〇一六年六月十二日で、現在時刻は午後三時二十四分。
この俺、
その俺達が使っている武器は火薬式の実銃では無いし銃口からビームが飛び出るようなアニメや映画で見るような武器でもない。
業界最大手の帝都角井をはじめとする、いくつものトイガンメーカーが製造している玩具。それを政府公認の元に特殊改造したエアーガンがGEと呼ばれる魔物に有効な数少ない武器のひとつだったりする。
同じエアーガンでも狩猟につかうクラスの物は通用しないのはいまだに謎だが。
GEに通用する武器はこのトイガン以外の他にもいくつかあるが、核兵器や化学兵器も含めて人類が人相手に戦争で使用する兵器は何一つとしてGEに有効でないというのも皮肉なもんだよな。戦車や航空機は移動手段としては使えるが、奴らを倒す攻撃手段にはなりえない。
そのおかげでどんな強大な力を持つ軍事大国も世界中に乱立する
辛うじて残っている国の多くも人口は十分の一程度ときたもんだ。
日本をはじめとする島国や、島国ではないがアメリカなどは何とかある程度の国力を保っている状況だけどな。
これにはいくらか事情があってGEが大量出現したタイミングや量にかなりの差があり、意外に日本は
そんな事より、今はここに陣取っているGEの排除が優先か。さてと……。
「ゴーグルに内蔵されたレーダーの情報通りだが、GEはこの先に集まっているな。向こうにも結構いるようだ……。俺はこの程度はいつもの事だが、あいつらの方は大丈夫か?」
俺が今いる場所は廃墟と化して数年が経ち、朽ちてひび割れたアスファルトから雑草が生い茂った何処にでもある田舎の団地だ。
目的の場所はこの奥の公園なんだが、そこに行くまでに邪魔なGEは倒していく必要がある。弾代もタダじゃないんだが、雑魚の小型でも一応討伐報酬は出るしな……。
この先にいるのは
MIX―Aと呼ばれる
「ん? 通信か。こちら
「こちら
別動隊を率いている
別に問題の無い敵の数だが、一応肉眼で確認したから戦闘前の一報って感じだな。
「その程度ならいつもの事だろ? こっちのGEは俺が処理するから、
「はいな~。
「こちら竹中。指定ポイントに着きました」
「こちら
こっちを担当している俺と違って、あいつらは別チームで動いてるからな。
戦力的に振り分けるとこうなるのは仕方がないんだけどさ。
「こっちは仕掛けるから
「了解。
特殊トイガンで使っている特殊BB弾の核というか、核として使用している
GE討伐は登録した学生がバイト代わりにやってたりもするし、上手くいけば一攫千金な事もあるので手を出す奴は多いんだけど、厳しい現実に打ちのめされる奴が多いのも事実だよな……。っと、そんな事よりまずは目の前のあいつらを何とかしないと。
「とりあえず雑魚は削っとくか。
俺が愛用しているのは帝都角井製M4A1カービンを防衛軍特殊兵装開発部の
多弾倉型のマガジンを使っているからワンマガジンで三百発近く撃てるのもデカい。
シュパパッ、シュパパッと、エアーガン特有の発射音があたりに響き、薄っすらと光る無数の特殊弾がGEに撃ち込まれ特殊弾がGEに触れた瞬間、特殊弾は激しい閃光と共に花火の様に弾け飛んだ。
その攻撃で
「あの悲鳴を出すって事はGEにも声帯か何かあるんだろうな。割とキィキィうるさいGEもいるし」
だからと言ってこいつらと意思疎通ができるとは考えてないし、それが可能だとしてもこいつらを許す事も見逃す事もない。
最初の攻撃で二十匹いた
ここまでは予想通りだが、問題はいつもの
「俺が使ってるグレード一の低純度弾じゃそこまでダメージも無しか。これでも普通の奴が使うよりは威力があるんだが……」
特殊BB弾の純度は十段階ほどあり、一番高純度の十は殆ど防衛軍などでしか使用していない。
理由は簡単、高いんだ
首都防衛にあたっている守備隊辺りだとその下辺りの純度の特殊BB弾を使っているが、俺たちみたいな学生AGEが使うのは大体グレード二からグレード三辺りの低純度弾だ。スナイパーの竹中にはグレード五の割とそこそこ威力がある特殊BB弾を渡してあるが、アレだったら
俺が使っているのは最低グレードの弾なので、基本的に
「いつも通り
俺は特殊トイガンを腰のベルトに固定し、左の腰にぶら下げていた刀身五十九センチの特殊小太刀を引き抜いた。この位置だとギリギリ邪魔にならなくていい。
この特殊小太刀の刀身はGE用に作られたアルミといろんな金属の合金らしいが、これでGE以外を斬りつけてもあまり切れ味はよくない。下手をすると刀身が曲がる位だ。
ただ、加工された柄の部分にあるチャージボタンと、柄と刀身に溜め込んだ力を開放するトリガーをうまく使えば
「さて、いつも通りいくぜ!!」
薄っすらと刀身の光るそれを右手に構え、アスファルトを力強く蹴って動きの鈍くなった
返す刀で近くにいる
俺達AGEは基本的に各地にある
「今日は朝から割と
左手首に着けている銀色のリングに表示された緑色のゲージが九十五本になった。俺くらいになるとGEから攻撃を受ける事なんて本当に稀なんで、特殊小太刀を使った時以外は
このリング自体は二〇〇一年に政府から全国民に支給されて装備を義務付けられた物だが、このゲージの表示は装着した者の生命力とリンクしているらしく、GEに襲われてこのゲージが一本も無くなった時に人はその身が石に変わるという事だ。一応だがある程度までだったら回復可能な薬が存在するが、どれも高価なので懐事情的にあまり使いたくないのはだれもがおなじだろうさ。
最初のGEが人類の前に姿を現して三十年ほど経つが、GEに襲われて生命力を奪われた人が何故石に変わるのかというそのシステムは未だに解明されちゃいない。その辺りは首都の頭のいい連中がそのうち解明してくれるだろうな。
「この辺りにいるGEは処理したな。向こうはどうなってる事やら」
去年までの即席メンツと違い、
……通信か。
「こちら
「
「
「はいな~。こっちはその
「了解した」
俺たちは割と頻繁に
赤字覚悟で高純度の特殊弾を大量に使えば倒せなくはないが、そんなに懐に余裕のある奴らはほとんどいない。
さてと、急いで援軍に向かうとするか。
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