第1.3話 「目覚め3」

「…」

正直言って、人間をやめたからといって何かが起こるということもなかった。

「前の世界では…まあ、思い出すのはやめておこう」

琴音さんも用事があるといってどこかに行ってしまった。

暇なので、自分の体(詳しくいうと毛だけど)を触ってみた。

「えっ」

自分は驚いた。想像してた3倍以上柔らかく、そして気持ちがいい。

そして数分ほど夢中になって触っていると、

「やっぱり初めはそうなるわよね」

後ろに琴音さんが立っていたのだ。

「いっ,,,いつの間にいたんですか?」

「数分ほど前、言い方変えれば初めからだね」

「恥ず…」

触ることに夢中になっていた自分が本当に恥ずかしい。

「大丈夫わよ。私も狐になってから初めはそういうことに夢中になっていたから」

この発言に気になった所があったので聞き返してみる。

「狐になってからって、元々は人間だったんですか」

「まあ、昔は人間だったと思ってもらっていいわよ」

「詳しく教えてくださいよお」


第4話に続く


あとがき

一日一冊、五日で五冊。

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