第3話 夏の動物観察「ウサギ」
「イッテ〜…マジビビった」
まさかの恐怖を体験した僕はゆっくり立ち上がる。
立ち上がり辺りを見渡すと光が差し込む森の中にいた。
「ここがプードゥの世界??」
もっと形や色の違う木とかあるかと思ったけど見た目は全然かわらない、変わったのは夕方から昼間に変わったくらいで日本と言われても全然違和感ない、ただただ森の中だった。
ちなみに振り返るとさっきと似た木の根っこが浮き上がり穴がある木があるので多分ここから出てきたのかな?
「そうだよ、ようこそアスム!ここが僕の世界だよ」
僕がキョロキョロしていると先にこっちの世界に来たプードゥがちょこちょこ現れた
「本当に異世界?全然僕の世界と変わらないけど??」
「まぁ見た目は確かに似てるかも」
「そうなんだ。それよりどこいってたの?」
「危険がないか見てきたんだよ、アスムの世界と違って危険がいっぱいなんだ」
プードゥは危険が無いか見てきたと言った後もキョロキョロ周りを確認している、こんな綺麗な森の中で耳を澄ますと鳥の囀りも聞こえるし、僕は行ったことないからわからないけどヒロトが去年の夏休みに行った軽井沢の写真もこんな風景だったし全然危なそうじゃ無いけど。
プードゥは小さいから危険が多いのかな?
天気もいいし、森特有の変な虫も今のところいないし、日本の夏より涼しいし、最高じゃない?
あんな遠くに可愛いウサギだっているし
…あんな遠くに??
僕は木が自分の人差し指と同じサイズに見えるような位置にいるウサギに目をやる
なんでウサギって気づいたんだ?
木があんな小さいならウサギって豆粒よりちっちゃいんじゃ…
なんかそんな習ったような…?
なのにあんな遠くにいるのにウサギって認識出来る、なんなら木と同じサイズのような気がする??
「ねぇ、プードゥ、危険って例えば?」
「例えば?いっぱいあるよ、嘘つく木とか、巨大ミミズとか…」
「へー…例えばウサギとかは…?」
「あー!ウサギ!アルミラージかな?」
「アルミラージ?」
「そう!デカくて凶暴でウサギに似てて、角が生えてるんだよ!」
へー…うん。生えてるなぁ…
「そいつさ、もし見かけたらどうするの?」
「アルミラージ、角ウサギは相当凶暴でこの森で1番ヤバいから追われたらどうしょうもないけど目が合わなければ大丈夫!見かけても下向いて動けば大丈夫!」
…へー…あ、綺麗な真っ赤な目と合っちゃった…
「プードゥ。逃げた方がいいかも」
「なに危険!?ミミズ?嘘つく木!?」
「いや、あれ…」
キョロキョロしているプードゥに僕は危険の方を指を刺して知らせる、その指の先をプードゥが見ると
「角ウサギ!?」
飛びかかるために屈伸運動してる角ウサギが
そして
とんでもないジャンプ力で急接近してきた
「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
こうして僕らはこの森の中全力ダッシュをすることになった
軽々大木を切り倒し僕らはだんだん追い詰められていく
「プードゥ!!こんな時こそ魔法じゃないの!?死んじゃうよ!!」
「た、たしかに!!よ、よーし!!」
お!ついに魔法が見れる!!
僕は期待し見ていると半泣きのプードゥはベストから杖を取り出し
「デルゥ!!-盾-」
そう叫ぶと僕とプードゥを包むように水色の球体が現れた
そしてウサギの角が僕たちを突き刺そうとした時
ガギィンッ!!
角を球体が弾き僕らは無傷でいる
「スゲー!!シールドじゃん!!プードゥスゲー!!」
「え、凄い?これくらいで?僕なんかやっちゃいました?」
また凄いむかつく顔してるけど実際凄いからしょうがない、魔法…凄い!!
プードゥのシールドは依然としてあり続け角の攻撃を防いでいる
「スゲーよ!プードゥこのあとはどうするの!?」
「このあと?」
「そうだよ!あとは攻撃魔法でズドンでしょ??」
「攻撃魔法…」
僕が攻撃魔法を期待しているとさっきのムカつく顔は消えとてもとても渋い顔をしている
あれ?もしかして
「プードゥ…もしかして攻撃魔法…覚えてない??」
「…うん…」
「えぇぇぇぇ!!?なんで?こんな凄い魔法出来るのに!?」
「アスム、シールド魔法って基本中の基本なんだよ…僕、この魔法しか知らないんだ…」
「本当にこれくらいの魔法だったの!?なんで知らないの!?」
「しょうがないだろ!?魔法ってね?才能なの!覚えられないもんはしょうがないだろ!だから戻ってきたくなかったんだよ、こんな世界…せっかく魔法のない世界に行ったのに…」
「もしかして、僕の世界に来たのって??」
「そうだよ!こっちの世界で輝けないから二足歩行でも凄いって言われるそっちの世界に行ったんだよ!!」
「そんな…!自分が今の世界で輝けないからって他人の世界来ないでよ!!」
「他の世界で再スタートしたかったんだもん!」
こんな口論をしている間も角ウサギはガンガン当ててくる、しかもプードゥのシールドもそんなに長くは持たないらしい。
こうなったら
「ねぇプードゥ、これ僕が魔法覚えることって出来ないの?」
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