第6話 社会人のあたし。

 それから数年

 チャンスの神様は現れることは無かった。



 就職して二年目。

 久しぶりに現れたチャンスの神様は

 今度は驚くほど

 ううん

 むしろドン引きするほどのフッサフサのモッサモサ、アフロで現れた。


 ――これはもう「捕まえなさいよ」と言っているでしょう?


 前のように抜けちゃうかもしれない、なんて泣かれる心配も無いよねぇ?

 当然、あたしはフッサリモッサリのアフロに手を突っ込んで

 指をシッカリと絡めて掴んだ。


 ――ズルリ。


 頭が取れて、あたしはまた、腰を抜かす。

 一体これで何度目だろう?


 頭が取れたと思ったのは、実はヅラで

 あたしを見下ろしたチャンスの神様は

 初めて会ったときと同じツルッツルで、ニヤリと笑って逃げていった。

 あたしは悔しくて悔しくて

 アフロのヅラを思いっ切り地面に叩き付けると

 神様の後ろ姿に向かって


 バカヤロー!


 と叫んだ。


 ――翌日。


 婚約者のユウダイくんが、実は二股を掛けていて

 もう一人の相手のナオミさんとやらが妊娠してしまったと言って

 突然そちらと結婚してしまった。

 もう、何もいうことは無かった。

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