しにがみ

日本語破綻者

第1話うまれた

 死神である僕の仕事は魂を狩る事らしい。らしいというのは僕は実際に魂を狩った事がないのである。仕事は明日からスタートなのだ。

 100歳に明日でなり、正式に死神としての職に就く。親はいない。いや僕を生んでどこかへといなくなった。僕はこの死神界で一人で生きてきたのだ。食べ物などは食べなくても死神は生きていける。しかし人間と同じで味覚はあるし、嗅覚触覚視覚聴覚も備わっている。人間と違うのは死神は人の魂が見える。そしてそれを刈り取る事が出来るのだ。学校でそれを習うのである。しかし僕は納得が出来なかった。魂と言っても死に直結する魂を狩る死神は最上位の死神で、普通の死神は寿命を刈り取る。そして最底辺の死神は希望を刈り取る。しかし絶望だって刈り取る事が出来るのだ。だがそれをする死神はいない。なぜかというと希望を刈り取った方が強くなれるから。死神はそれらを刈り取る事で成長できる。僕は絶望を刈り取る事で人間に光を与えたかった。が、それを言ったら頭がおかしい死神扱いされた。人間の希望、寿命、魂を刈り取ることこそが死神の使命なのだ、と。なぜなのだろうか。僕には分からない。人間はもちろん悪い人間もいるが良い人間もいる。それは死神界から見てきてよくわかっていた。刈り取るのは悪人の魂だけで良いだろうに。だがそうではなく、死神はむしろ善人の希望を、魂を刈り取って行った。僕には理解が出来なかった。

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