遥けき風


 どうと吹く風が遥かに吹き抜けてすべてのいのちがいまここにある


 ねえ母刀自かあさんあたしこれでよかったよねと問う娘に母はただ微笑してかえす


 骸がころがる戦場が林のむこうにひろがって今日もたみくさは仕事にでかける


 意味だとか意義だとかもうどうでもいいきょうの夕餉の鍋のあたたかさ


 うまれて生きてやまいでくるしみ終わりを迎えてそうやってぜんぶ宇宙を作る


 


 

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