短歌の練習帳

壱単位

翼たちよ


 ざわざわと露天商のかげに舞うたんぽぽたちのその黒い翼よ


 ねえどうして折れているのわたしの翼飛べるって言ってくれたじゃない


 星を叩いて赤ん坊は忘れてきた翼のことを伝えようとする


 ネフェルティティがくちにした翼の重みがうつしよを縛る


 鋼鉄の扉を切断しようとしたから彼の翼はもう戻らない


 紅いみずの底から月を見上げながら翼は涙をながしつづける




 

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