嫌いな者...それは人間です。

てるた

第1話 私は掲示板にこう綴った。

婚活歴十年、恋人いない歴三十二年、もう無理だと思った回数無限代数。


『普通だろうがよ!!!!!!!!!!!!!』

婚活パーティーで相手の方とマッチング出来ないと、とにかくむしゃくしゃしてしまう。


人が居ることも気にせずに満天の星空に怒声をぶちまけていた。


『何あの人』

『近寄らない方がいいよ』

『…』

『…』


野次馬共が危険人物がいるような感覚で俺のうわさ話しをしている。


こいつらには『何見てたんだコラ』と更に言いたいがここはぐっと堪えてその場を静かに離れた。


『クソーマジでムカつくぜ。あのドブス野郎共!』

帰宅しても俺の怒りは収まらず、より一層強まっていた。

『なにが男女平等だ! 圧倒的に女のほうが有利じゃねーか。 チクショーマジでムカつくぜ』


『うるせーぞ!』

隣の102号室にいる大学生の青木 隆あおき たかしが壁を叩いて注意してきた。


俺はこいつが嫌いだ。

初めのうちは好青年ぶってて、差し入れや部屋などに紹介してくれたが女が出来た瞬間に一切俺を呼ばなくなった。


女が出来たら人は変わるという。

まさにこいつはその変わるって事を立証した生き証人だ。

それともう一つこいつは俺より若いのに女がいるという事でも腹が立つ。


『お前こそうるせーぞ!!!』

あーイライラが収まり切らねー。

マジでムカつくわ。


それでいて明日が仕事なのも腹が立つ。

やりたくもねー仕事を続けて、このまま一生続けて死ぬと思うと、なんとも空しい人生だよ。


このままイライラして時間だけが過ぎ、夜更かしをしてしまうと、明日の仕事に支障がでるので俺は布団を敷きそのまま中に入った。


無理やり眼を閉じたが、時計の針の音が妙に耳障りで全く眠れない。

イライラの感情も鎮静化しないので、俺は布団から体を起こし、携帯電話を弄り、SNSカイッターを開いた。


検索画面には『三十歳まで童貞を貫けば魔法使い』と検索すると、掲示板にはズラリとその事に関する内容が書き込まれていた。


俺は掲示板にこう綴った。

【三十歳から魔法使いになれるって言う都市伝説、あれは本当です。僕は魔法を使って空の上から裸の美少女を降ってこさせたり、キャバクラで一番可愛い子と付き合える事が出来ました。

だから皆さんも三十歳まで絶対に貫いて下さい

PS

四十歳まで童貞を貫けば大賢者となり、さらに大魔法が使えるらしいです。

だから皆さんも四十歳まで、童貞を貫きましょう】


俺は携帯電話を閉じると笑いが止まらなかった。

ネット住民の奴らは信じるか信じないかは分からないが、少しでも信じる奴らを増やせたことに。

四十歳まで彼女を作らない奴を増やせたことに。



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