第6話 すくい
不特定多数が同じ部屋にいる。殺風景な部屋だが全員が適度に動き回れるほどの広さなので運動不足によるストレスはないと思う。
部屋の外は賑やかな音が聞こえる。時折、誰かが部屋の外へ連れて行かれては戻って来たり、そのままどこかへ行ってしまう。
私達はこの先どうなるんだろう? 皆はどう思っているんだろう?
私も皆と一緒に部屋を動き回ったり、止まってみたり、時間だけが過ぎていく。
そんな中、いよいよ私の番がやって来た。
有無を言わさず殺風景な部屋から小部屋に移されてしまった。
誰もいない、私だけだ。今までいた部屋が遠退いていくのを感じる。もう戻れないと悟った。
そこからは訳が分からなかった。殺風景な部屋の中で聞いていた賑やかな音の中を連れ回されたり、かなりの時間が経ったかの様に感じた瞬間、見知らぬ部屋に入れられた。
殺風景な部屋より狭く、小部屋より広い部屋に私だけだ。
何を強要される訳でもなく、決まった時間に食事をもらえて、部屋を掃除してもらえて自由にして良いらしい・・・正直幸せだ。
最初は戸惑ったのだがよくよく考えると
私はすくわれたのでは?
今日も私は金魚鉢の中を泳いでいる。
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