選択権。
Y.T
第1話
半袖のブラウスにベージュ色のベスト、赤を基調としたチェックのスカートというやや明るめの一般的な夏服を着ている。放課後なのにそんな格好をしてるのは、部活をサボってまで会いたい彼氏の家が離れているからだろう。その眉上で切り揃えられた前髪や、頬の高さから首後ろへ向かう丸みのあるショートヘアも、陽菜の自由さを表している。
陽菜の家に近いのは右の道だ。
『——分岐です。彼女が行くのは右ですか? それとも左ですか?』
俺の視界に文字が現れる。
答えたくない。もしも答えてしまったならば————。
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