第3話 棲み家は地下の地下
病院から少し離れたビルの陰にある駐車場に女医の車はあった。それは、真っ黒なイタリアのスーパーカーだった。女医は低い車体の運転席へ沈み込み、銀太郎を手招きした。
「あ。でも俺今の爆発で粉塵まみれですけど」
「大丈夫よ。そのままで」
銀太郎は服についた粉塵を軽く払い落とし、助手席に体をゆっくりと滑り込ませて言った。
「すごい車に乗ってますね、さすがお医者さん」
エンジンをかけながら女医は、前を向いたまま言った。
「私のようなアルバイト医者じゃ、この車は買えないわ。でも、あの力を使えばあなたもお金には不自由しなくなるわよ。」
『ブオオォォ~』
スーパーカーは、駐車場を出て、中心街にある地下駐車場へ入って一番下の階に着いた。駐車場の端の行き止まりにたどり着いた時、壁と思っていたものが映像であり、それをすり抜けるとさらに地下へと続く道が現れた。車はその道を下りながら進み、真っ暗な地下駐車場の奥へと進んでいった。
車が止まると、その横には薄明るい明りが点いているドアがあった。中へ入ると薄暗く狭い5mほど真っ直ぐな通路があり、またドアがあった。その先には少し明るく広い通路がまた5m続いた。次のドアを開けると、ロボット警備員が居て無言で次のドアへ二人を誘導した。
そのドアを開けると武装したロボットがズラリと並んで二人を出迎えた。
奥の方へ行くと、白髪で身長180cm弱、黒いシャツの襟を立て黒いパンツを穿いた70歳過ぎの老人がいて、二人に話しかけた。
「お帰り、彩花(あやか)。銀太郎は、初めましてかな。俺の名は翔(しょう)だ、よろしく」
「ただいま、翔。寂しくなかった♪」
と、女医の彩花が老人に馴れ馴れしく抱きついて話しかけた。
「この老人は、なぜ俺の名前を知っているんだ。そして、この彩花とか言う女医は老人に対して、敬語もなく馴れ馴れしすぎないか」
「とか、銀太郎思ってない?」
と、彩花がいった。
「あ、はい。その通りです。」(図星だった)
と、銀太郎は、目を真ん丸にした。
「説明するから、こっちに来て」
彩花と翔は、軽く微笑んで奥の部屋に銀太郎を招き入れた。
中には、40代の男性と20歳くらいの青年、10歳くらいの少女がカードゲームをして遊んでいた。
(ここはいったい何処で、俺はこれからどうなるんだ)
銀太郎は、混乱していた。
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