第70話 チーム・ファースト
9イニングを完投し、打たれたのはホームランが一本で、他にはフォアボールもエラーもランナーはなし。
球数は106球で、奪三振は今季タイの17奪三振。
ホームランを打たれたが、それだけで2-1で試合は勝利。
先発のエースピッチャーとして、直史は間違いなくライガースというチームには勝利した。
ただし大介との対決はどうであったのか。
三打席しか勝負しておらず、そして一本のホームランを打っている。
期待値の平均からすれば、間違いなく大介の勝ちである。
しかし試合はレックスの勝利。
野球は間違いなくチームスポーツなのだ。
だから試合に勝ったチームの勝利ではある。
そこに個人間の成績を持ってくるのは、本来は違う。
もちろん興行であるから、負けたとしてもそこに感動は発生する。
ライガースファンは直史からホームランを打てたことで、充分に満足している者もいるだろう。
そしてレックスファンは、試合には勝てたし直史のピッチングも楽しめた。
17奪三振でわずか一失点。
大介との勝負に、全く逃げる姿勢を見せなかったことだけでも、NPBのピッチャーとしては賞賛されるべきだ。
直史は当然のように、ヒーローインタビューを受けた。
ホームランを打たれて何を言うのか、それを期待していた者もいるだろう。
八試合連続マダックスという記録も途切れたが、これはMLBでもっと長い記録を作っている。
「一点差の試合をしっかり勝てたというのが重要だと思います」
ラスト2イニング、直史は相手の打線を全て三振で打ち取った。
完全に一人の力である。
レックスの野手たちは、このエースがまだ、力を出し切っていなかったことに気づく。
普段はそこそこ打たせて取って、体力の消耗と肉体の疲労を回避する。
だがその気になれば、ストレートで三振が取れるのだ。
150km/hが一度も出なかったストレート。
しかし追い込んでからのそれを打てたバッターは、最後の六人の中にはいなかったのだ。
大介に対しては、追い込んでからのストレートを投げて、外野にまで飛ばされている。
だから警戒していたというのは間違いない。
その大介を基準にすれば、他のバッターは脅威度が低かったのは確かだ。
大介にしても、ホームランを打ったのはストレートではない。
追い込まれてから投げるストレートは、なぜか打てない。
もちろん分析はちゃんとされているのだが、その分析をボールの軌道が裏切っているのだ。
野球選手としてずっと、野球をしてきた人間にとっては、ホップするように見える球というのは、それだけ打ちにくいものであるのだ。
もっともこれは、落ちるのに伸びるというスルーも逆方向に打ちにくいボールであるのだが。
大介はこのボールが生み出された過程を知っているし、理屈も完全に知っている。
だから打てたのだ、とも言える。
大介に対してスルーを使ったのは、後から考えれば間違いであったのかもしれない。
ただ以前に使った時は、これでそれなりにファールを打たせることが出来た。
やはりフォームの変化を考えないといけないし、あとは狙い球として絞られたいたのかも問題となる。
インタビューを終えると、直史は課題を抱えて、マンションに戻ることになったのだった。
神宮でやっていた試合なので、そのデータはすぐに手に入る。
そしてセイバーのデータ解析班の手によって、そのピッチングが分析される。
これはあくまでメカニックの分析であって、前後の駆け引きは関係ない。
レックスは次が、アウェイでのフェニックス戦。
直史は上がりとなって、東京に残る。
この時間を、分析と考察に使えるのだ。
翌日、直史は目を覚ますと、夜の間に分析班が抽出したデータを確認する。
まず普通のストレートと、スルーを投げたときのフォームのメカニックには、全く変化はない。
だが普通ではないストレート、よりフラットな軌道になるストレートと比べれば、その踏み込みや腰の落とし方、そしてリリースポイントがわずかずつ違うのが分かる。
チームはこの日の晩にはすぐに試合があるので、このまま名古屋に向かう。
直史はこちらの室内練習場で、分析されたデータを改めて確認する。
レックスの分析班も、ちゃんと仕事はしていた。
直史が打たれた原因は、普通のストレートのフォームで投げようとしたから。
そんなフォームで普通のストレートを投げるはずがないので、大介は読みをスルーに振り切ったということだろう。
実際のところはもう少し、大介はスルーを追い込むまでに使うだろうな、と山勘で当てていた。
そしてそれがまさに的中したわけだが、直史としてはこれを防ぐ方法は、一応簡単に考え付く。
普通のストレートもしっかり使っていくことと、フラットなストレートを投げるフォームからもスルーを投げるのだ。
(ただこれは、体全体に少しずつ負荷が大きくかかるのか)
おそらく出来なくはないだろうが、肉体にかける負荷は大きくない方がいい。
変えられないことはないが、直史としては悩みどころとなっていた。
やはり直史であればライガース相手でも勝てる、ということは確認出来た。
しかし同時に、直史であっても際どい勝負になってしまった。
実際のところは打線の援護が二点というのは、少なかったように思う。
それでもあの終盤の奪三振ラッシュ。
今までの直史の印象を、大きく変えるようなピッチングであったのは確かだ。
レックスの首脳陣は、今後の直史のローテーションを改めて考える。
現在、消化した試合数が違うのでなんとも言えないが、勝率では0.06%レックスがライガースを上回っている。
これも昨日の試合で負けていれば、首位は逆転していた。
一時はかなり離されていたが、ペナントレースは主力に故障でもない限り、レックスとライガースの争いになりそうだ。
そしてここからの三連戦、レックスの方が弱い相手と当たれる。
ペナントレースで優勝した方が、圧倒的に有利にクライマックスシリーズを戦えると、レックスの首脳陣は分かっている。
むしろペナントレースを制しなければ、アドバンテージを手に入れなければ日本シリーズにも進めないと、球団のデータ班は分析している。
六連戦の中で、直史に四勝してもらうのはさすがに無理がある。
だが先発で二勝してもらい、リリーフとして短いイニングを投げてもらう。
この無理を通さないと、おそらくは勝てない。
そのためにはライガースと当たる試合で、直史を可能な限り登板させたい。
大原の出来が良かったので二点しか取れなかったが、本来のレックスの打線なら、四点以上は平均で取れているのだ。
もっとも直史がパーフェクトをしている間は、守備に固さがあったようにも思える。
それだけ守備の方に力を割いてしまっているが、それよりは打撃で援護するべきなのだ。
むしろ直史のパーフェクトだのノーヒットノーランだのは、試合の展開全体を考えた場合、邪魔ですらあると言った方がいいかもしれない。
それもひどい話だが。直史の力は上手く活用しないといけない。
直史は改めて、今季の残りの試合を確認する。
本来のローテからはずれてしまったのと、雨天での延期があるため、おそらくここで当たるのではないか、という予想がつけられる。
元々雨さえなければ、もっと早く二度目の対決は実現していたわけだ。
(どこかでもう一試合ぐらい、対戦を作ってくるだろうな)
首脳陣の思考をトレースすると、自分の使われ方も分かってくるのだ。
今年のレックスの基本方針は、まだ育成であったはずだ。
それが直史の加入と、ドラフト下位からの下克上もあって、ペナントレース制覇の目が見えてきている。
しかしそのために、育成中のピッチャーなどを壊してしまっては、本末転倒になるだろう。
若手には無理をさせられないが、直史はもう40歳。
今年のようなピッチングが、来年も出来るとは思えないのがこの年齢だ。
レックスが自分を使い潰す可能性。
直史は充分にそれを考えている。
この先数年のチームの主軸を育てるのと、ロートルを使い潰すのは両立する。
もちろん本当に優勝が見えてきたら、多少の無理は若手にもさせるであろうが。
直史は目的さえ達成されたら、使い潰されても文句はない。
むしろブランクのあるロートルを拾ってくれただけ、レックスには感謝している。
ただ万一、今年の沢村賞が取れなければ、来年に賭けることも考えなくてはいけない。
そして今年の沢村賞の発表の時期は、日本シリーズの最中になっている。
一応はレギュラーシーズンが終わったところで、確定することは間違いないだろう。
ただ確実ではないので、ポストシーズンに燃え尽きてしまうわけにはいかない。
かつてのような連投で先発、というのは無理だ。してはいけない。
80年代でもNPBはレギュラーシーズン終盤など、エースを中三日などで使ったりしていた。
もちろん今はさすがに、それをやってはファンから叩かれる。
ただ直史だけではなく、上杉なども無茶をやっていたので、その感覚が鈍っている人間がいるのは確かだろう。
直史は果たして、どのように運用されるのか。
チーム・ファーストを直史が考えていたのは、せいぜいが高校時代までだ。
大学時代は勉強を優先していたし、プロ入り後は故障でもしてしまえば、遠慮なく引退できるとさえ思っていた。
おそらくその思い切りの良さが、あれだけの成績を残せた理由なのだ。
甲子園でぶっ壊れてもいいと思って投げるピッチャーが、かつては本当に壊れてしまって、プロの世界では使い物にならなかったこともある。
今年の直史は、壊れない範囲で全力を尽くしている。
他のピッチャーからすれば、なんとも納得できないであろう。
あと何度、ライガースとの試合で投げるか。
多く見積もっても、おそらくは二試合程度である。
ローテがそのまま進んでいくなら、一試合だけという可能性も高い。
しかしシーズン終盤は、ライガースとの首位争いは激化しているかもしれない。
(今年は壊れるわけにはいかない)
ただこの直史の考えは、後に覆されることになるのを、今はまだ知らない。
かつてNPBはタイタンズが、人気において一強であった時代があった。
球界の盟主などと呼ばれて、また選手の待遇も特別であったりしたものだ。
もっともそれも遠い昭和の話、ネットなどでの試合配信が多くなり、全国でそれぞれのチームの試合が見られるようになると、ファンの選択肢は増えていった。
またそもそも野球以外の娯楽が増えて、そこでも人気は分散していった。
現時点ではチームの人気は、地元愛がいまだに強烈なライガースと、上杉のいた20年でファンが固定化された神奈川が、東西の二強となっている。
ただ一時期はレックスがそれに匹敵する時代があったのだ。
むしろあの時期は、関東の野球ファンの多くが、レックスに吸い取られていった。
樋口と武史で日本一となり、そこへ直史が加入したわずか二年。
しかしスーパースターという言葉すら陳腐に感じるレジェンドたちが、この時期はかなりセ・リーグに集まってしまったのは、パのチームにとっては不運であった。
交流戦をより増やしたり、といった試行錯誤が成された時期である。
もっとも上杉以外の選手の多くが、MLBに移籍したことにより、この人気の偏重には抑制がかかったが。
選手の人気が、チームの人気を上回った時代である。
ただライガースだけは、大介の移籍後もそれほどの人気凋落はなかったが。
毎年のようにスター選手がMLBに移籍して、結果を残す者もいれば、残さない者もいた時代である。
どの時代であっても変わらないのは、選手は個人事業主であるということ。
壊れてしまってもそれは、本質的には選手個人の問題なのだ。
選手から見てタイタンズが人気があったのは、そういった選手のケアにもしっかり金を使っていたからだ。
ただ下位指名からの成り上がりを狙う者にとっては、タイタンズはやや敬遠されるようになった。
同じことは選手層の厚い福岡にも言えることだ。
選手は毎年、チームと一年単位で契約更改をするのが基本だ。
ただFAが近づいてくると、複数年契約を結ぼうとするのも、チームの動きの一つである。
直史の場合、今年は1600万で投げている。
一軍の最低年俸保障額であり、今の活躍とはとても比例しているとは言えない。
なのでチームが無茶を言ってきても、拒否しても当然ではあろう。
直史が最優先するのは、妻子である。
家父長的な思考を強く残す直史は、チームに感謝をしながらも、ここで潰れるつもりはない。
クライマックスシリーズで無茶な登板を要求されても、それは拒否する。
もっとも他人の考える無茶というのは、直史にとっては普通であったりする。
直史はライガース戦の後は、さすがに一日負荷の弱い運動しかしなかった。
球数がいつもより多かったということもあるが、何より神経を使って投げたからだ。
大介との対決はやはり、一試合を投げるよりも疲れる。
まだ頭がぼんやりとする中で、それでも次の対戦があった時のことを考える。
ライガース対策と言うより、大介対策だ。
沢村賞の選考基準を考えるに、直史はあとはもう、無難に勝ち星だけを積み重ねて、負けを一つぐらいまでに抑えたら、獲得出来るとは思える。
それでも念を入れてしまうのは、沢村賞が投票でもなく、選考委員数名によって選ばれるものであるからだ。
直史に対する、悪意とまでは言わないが嫌悪感。
それがどの程度のものかによって、あるいは選考が偏るかもしれない。
誰もが認めざるをえない、圧倒的な数字を残さなければいけない。
既に残している直史は、さらにそれを高めようと考えるのだ。
直史との対戦は、確かにホームランは打てた。
だがチームの勝利には届いていない。
直史は完全に安全マージンを取った上で、大介と勝負している。
実際にはかなりぎりぎりであるのだが、大介はそう感じていた。
それに試合に勝てていないという点、勝ち投手になった点を考えれば、確かに直史の勝利であるという見方も出来る。
結局本人の納得がどうであるか、が問題となる。
すると大介としては、あれは判定負けとなるのだ。
ホームランを打たれても直史は折れず、むしろそこからあの直史になった。
引退試合の終盤、三振だけを狙っていって、実際に三振ばかりでアウトを取る。
ピッチャーの究極の形の中の、その一つである。
大介が打ったのは、直史が決め球として投げる、ストレートの前の段階。
言わば奇襲に近いものであり、それで見事に打ってのけた。
だが結局は直史の心を折ることはなく、むしろ手負いの直史は限界に近い力を引き出して、ライガース打線を叩き潰した。
三球三振ばかりでアウトを取られたライガースの打線は、確かに重大なダメージを受けていた。
そもそも大介以外は、一人も打てなかったのであるから。
結局は試合で勝つよりも、重要なことがある。
プロであるからには、全勝というのは普通はありえない。
特にバッターは、五割も打てないのだ。
重要なのは折られた後で、どうやって復帰してくるかだ。
(タイタンズ戦はまずいな)
大介の予想は当たるが、折れていない者がいないわけではない。
誰よりも、大介自身がそうであった。
【勝者は】 新生! 佐藤直史総合スレ part286 【どちら?】
645 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
さて、ようやくスレの流れも落ち着いた来たところで
646 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
試合後のスレの消費半端ないわ
試合中からじっきょうしとるのもおるし
647 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
言うてそれほどでもないやろ
実況中なんかあああああああとかで埋まってたぞ
648 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
頭おかしいの多いよな
古参としては頭が痛い問題
649 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
古参www
20年選手かよwww
650 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
昔はもっとひどかったぞ~
651 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
一番やばかったの高校三年の夏じゃね?
まだツイッター主流じゃなかったと思う
652 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
現場からはツイッター、テレビはこのスレって感じだったかな
653 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
トレンド一位に普通になってたからなあ
654 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
あの時代は他にも事件があったから
上杉の球数制限到達降板事件とか
655 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
あれはリアルで燃えたなあ
軍神まだ全然投げられただろうし
656 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
あの試合でワイ大阪光陰嫌いになったわ
もっと打ってけよって思ったもの
657 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
当てるのが精一杯やろ
春日山がエースを上手く温存しておけば勝てた
658 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
上杉は別スレ行ってくれ
ここは大サトースレやからな
強いて言うなら白石の話題もいいだろうけど
659 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
実際ここに引退前からのファンってどれぐらいいるんだろ?
660 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
球数制限もクソも樋口のリードが悪かったんじゃね?
661 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
いや、普通引退前からのファンが復帰してきたんだろ?
662 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
樋口のリードがクソって、お前燃やされるぞ
663 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
大サトーと一緒に何回パーフェクトやってきたと思ってるんや
664 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
打って守って走れて刺す
総合力で言ったらNPB史上最高のキャッチャーやろ
665 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
樋口の話題はここではありなの?
666 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
そら大サトーの最強の相棒でもう引退してるし
普通にここで話題にするのはありやろ
667 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
あのバッテリーで何回パーフェクトしてるんだっけ?
668 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
NPBでもMLBでも組んでるけど大学でも組んでるからな
wikiには書いてないけど熱心な信者がどっかでまとめサイト作ってるんじゃね?
669 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
熱心な信者(大サトーのリアル嫁
670 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
www
671 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
みずきたんサイトにはそんなのなかったお
ただ試合は全部スコア残ってるから、拾っていけば分かるだろうけど
672 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
それでそろそろ昨日の試合の勝敗についてだけど
673 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
それはもう試合に勝った方が勝ちということで決着ついただろ
674 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
四打席連続敬遠して試合に勝って、叩かれまくって次の試合でボロ負けしたという
高校野球の黒歴史があってな
675 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
四打席?
676 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
五打席やな
あの敬遠騒動がなかったら白石ももっと敬遠されてただろうな
677 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
つまりこの試合だけではなく今日以降の試合にもどう影響が出るかで決めると?
678 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
プロの世界はなあ
そう簡単に勝敗が決まらんからな
大サトーがMLBでサヨナラ打たれて負けてるけど白石の方が上とはならんやろ
679 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
総合的に見ても勝負どころで見ても大サトーの方が上なのは間違いない
680 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
またそういう断定口調で話すから
でもこれでもう一回ぐらいシーズン中に対決が回ってくるか?
681 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
戸崎とかも言ってるけど、ペナントレース制してないとレックスは一気に不利
さすがに六連戦で大サトー四勝は無理だから
682 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
ほんまか? 大サトーやぞ?
実際にプロでも連投とかしてるぞ?
683 名前:代打名無し@実況は野球ch板で
MLBの二年目のことを言ってるんやろうけどあれはしゃーない
小サトーが相手で投げて、しかも連投だったから
直史の攻略法とまでは言わないが、今よりはまともに対戦が成立する方法を、大介は見つけた気がする。
もちろんそれが実際に可能かどうか、それはまた別の話であるが。
それに成立したとしても、それはあくまで同じステージに立てたということ。
実際に対決して勝てるかどうかは、また別の話である。
これを他のバッターにも話すべきか。
ただ話してしまっても、直史はまた修正してくる気がする。
今ではなく、対戦が決まった時に話すべきだろうか。
あと一度、シーズン中に戦うかどうか。
(シーズンで打ったとしても、勝てるかどうか)
勝率はそこそこ上がるであろう。
だが直史の対応力を、大介は全く甘く見ていない。
ここはポストシーズンに向けて、秘密にしておく方がいいだろう。
それにポストシーズンの成績は、沢村賞には影響しない。
シーズンMVPに関しては、大介が考えても無駄である。
二人の投打での傑出度合いは、それぞれ別格のものなのだ。
ペナントレースを制したチームから、シーズンMVPが選ばれるのは間違いない。
慣例でペナントレースを制したチームが下克上でポストシーズンに負けても、その場合は負けたチームの中から選ばれることが多い。
どのみち優勝を狙っていくしかないのだ。
九月は丸々残っていて、ちょっとした連勝と連敗で順位は入れ替わる。
大介としてはクライマックスシリーズで直史と対戦するのを、確信しているのだ。
直史対策は、どのチームもしている。
それが結実すれば、さすがに直史も今ほどの成績は残せないだろう。
しかし自分のチームならともかく、他のチームのために対策法を教えようなどとは思わない。
直史が自分以外のバッターに打たれるのは、それはそれで嫌な大介なのである。
レックスは今シーズン途中からローテ入りした百目鬼が、かなりいい具合のピッチングをしている。
多分に運の良さもあるが、ここまで自分の先発した試合で、負け星がついていない。
もちろん完投まではまだ届かず、リリーフが負け星を消してくれたこともある。
ただフェニック戦のこの試合も、七回を投げて一失点と、見事な結果を残している。
直史はこの試合を、ホテルの自室で見ていた。
レックスのペナントレース制覇。
直史にとって優先順位は高くないが、それでも全く目指さないわけではない。
念を入れすぎても入れすぎということはない。
シーズンMVPも、直史が狙う目標の一つなのだ。
他のピッチャーのレベルが上がらなければ、チームとして勝つことは難しい。
上谷を二軍に落として、調子のいいピッチャーを持ってくるという。
ただ上谷は上谷で、ローテを回すためにはそれなりに必要なピッチャーだ。
かつてのレックスに比べれば、圧倒的に投手陣は薄い。
だがそれは、あの時代が強すぎたということでもある。
佐藤兄弟に金原と佐竹、この四人で50勝以上は貯金が出来た。
他にも先発で投げられる、いいピッチャーがいたのだ。
よくやっているとは思うが、六回までを投げて勝てる先発が出てくれば、二軍に落とされるのも仕方がない。
あるいは敗戦処理でもするか。
それよりは二軍の試合で先発して、鍛え直した方がいいと、直史などは考える。
本人としてはずっと一軍にいたいのだろうが、まだ若い今のうちにレベルアップしないと、おそらく数年で消えてしまうだろう。
直史のピッチャーを見る目は、それなりのものではある。
同日、ライガースはタイタンズとの対戦。
ライガース打線は全般的に低調であったが、タイタンズ打線も津傘がしっかりと抑えてくれている。
同じ打撃力の高いチームであっても、ライガースとタイタンズでは、大きな違いがある。
タイタンズは平均して得点力が高く、ライガースは爆発力が大きい。
つまりライガースは、沈黙する時は本当に沈黙してしまうのだ。
この日のライガースは、やはり昨日の影響が残っていた。
せめて一日の間があれば、かなり違ったのだろうが。
それでも大介は、一人爆発する。
直史から打てたのだから、他のピッチャーからも打てるのは当然だ。
いや、その理屈はおかしいと、言ってくれる者はいない。
津傘もいいピッチングをしたのだが、リリーフ陣が弱い。
同点の状況で交代して、そこからの追加点がタイタンズの方が上回った。
5-4とわずか一点差ながらタイタンズの勝利。
だがどうにか、打線にある呪縛は消えたように思える。
明日はライガースの先発は畑。
エースのピッチングをしてくれれば、それで勝てるだろう。
ライガースは今年、ほぼ序盤からずっと、首位を走っていた。
このチームにずっと言われることだが、打線の勢いがある間は、本当に止められないものがある。
ただどこかで失速すると、また勢いを得るためにかなりのタメが必要になる。
首脳陣としては、この試合に負けたのも、ある程度は投手陣にも責任があるとは思っていた。
レックスと違って、先発にもリリーフにも安定感が足りないのだ。
レギュラーシーズンを駆け抜けても、その先のポストシーズンでどうにかなるのか。
それが不安要素だと考えている首脳陣は、いささかポイントのずれた考え方をしているのだった。
×××
本日より完全新作ヒューマンドラマ作品を投下しています。
たぶん面白いと思うので読んでください。
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