第2話王国最強魔導士の受難

 私の名はレオン、弱冠24歳だがこれでも王国最強魔導士だ。我が国アスール王国は危機に瀕している。我が国に巨大な金山が見つかったことで魔族領から奇襲攻撃を受けたのだ。それにより今や領土の3分の2を奪われ、王都エルドラドの目前まで魔王軍が迫っている。そんな中、国王からこの王国最強魔導士に勅命が下った。それは異世界から勇者を召還することだった。元々我が国と魔族領は250年前にも戦争を行なっており、その時にも勇者を召還し、我が国が勝利を収めていた。私は250年前の古文書を片っ端から読み漁り、ついに勇者の召喚方法を手に入れたのだ。

 レオンは意気揚々と召還の儀が行われる王宮へと赴いたのであった。


 王宮では貴族や兵士や大量の民衆までもが召還の儀に呼ばれていた。

王様「それでは初めよ、魔導士レオン」

レオン「はっ、ただいま」

レオン「〜〜〜〜〜〜」←召還の為の詠唱をしている

 詠唱を終えた瞬間、巨大な雷が王様とレオンの間に落ちた。その直後に雷の落ちた場所から1人の太った男が突然現れた。

民衆1「おお!あれが勇者か!!」

民衆2「勇者召還に成功したぞ!んっでもあれが勇者…?」

兵士1「勇者にしてはちょっと見た目が…」

兵士2「あれは勇者というよりゴブリン…?」

 召還の儀の興奮は召還された男のあまりにも勇者のイメージとはかけ離れた風貌にかき消された。それもそのはず召還された男は30代の肥満体型、身長は低くその割に顔が異様にでかい。

民衆3「まさか召還に失敗したのでは…?」

民衆4「まさか、あのレオン様だぜ」

民衆5「いやいやどう見ても勇者じゃないぞあれ…」

 異様な空気を感じ取ったレオンはさっきまでの自信をすっかり失い、焦る気持ちで詠唱を確認した。

レオン「(流石に間違いはないだろ…でも一応確認するか…ええッと、ここがこうでこれがあれで、これがあっちで、その後がこうで、次のこれが…………ん?えっ?あれっ?これ間違ってる…?)」

レオン「(すると…この男は勇者ではないと…⁉︎⁉︎)」 



王様「静まれ皆の者、見た目はどうあれ勇者様が降臨された!これで我が国は救われる!!勝利は我が手にあり!!!」

民衆6「そっそうだよな、見た目は置いといても勇者が来てくれたんだよな」

民衆7「これで魔王軍を撃退できるぞ」

民衆8「俺たちは勝てるぞ!王様万歳!勇者様万歳!」

民衆「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


レオン「…………」

レオン「(いやいやいや、ここで、『すいませ〜ん、詠唱間違えちゃいました〜その人勇者じゃありませ〜ん⭐︎』なんて言えるわけないやんけ…いや言ったら間違えなく俺が王様に処刑されるぞ…どうするどうするどうする…)」

レオン「(よしっこうなったらこの王国最強魔導士の俺の力でこいつを勇者に仕立て上げるしかない…いや俺ならできる)」


ここに間違えて召還された30代無職男と王国最強魔導士による奇妙な救国の物語が始まったのである。


To be continued …


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る