猫のパン屋さん。
猫野 尻尾
第1話:拾われた猫ちゃん。
桜の並木通りを抜けるとその先に公園があって、その公園を突っ切った場所に
小さなパン屋さんがある。
そのパン屋さんの名前を「猫のパン屋」と言った。
この物語のヒロインの名前は
年齢は17歳。
身長は155センチ。
現役高校生。
髪はショートボブ。
陽菜の夢は両親が営んでるパン屋さんを継ぐこと。
将来は親の後を継いでパン屋さんになりたいと思っている。
父親の名前は
母親の名前は
それは陽菜が下校時のことだった。
桜の咲く春の夕暮れ時、いつものように桜並木を抜け突き当たりの公園の
中央を突っ切って近道をして帰るのが陽菜の帰宅コースだった。
陽菜が公園の中頃に来ると、端っこのほうにある古いベンチの上に
小さい段ボールが置いてあるのを見つけた。
確実に誰かが先にダンボールを見つけて蓋を開けたんだろう。
そして中を覗いて、そのままなにもなかったように立ち去ったに違いなかった。
中途半端な蓋の空き具合から、そんな形跡があった。
そのまま放って帰ればよかったのに、陽菜は好奇心のほうが勝ってしまった。
段ボールに近ずいて中をそっと覗いてみた。
するとそこには陽菜のほうをじっと見つめる子猫が一匹いた。
猫は陽菜の顔を見て「にゃ〜、にゃ〜」と二回鳴いた。
その子猫を見た瞬間、陽菜は「可愛いっ」って思った。
「きっと飼い主が置いてったんだね・・・そのパターンだ・・・」
心情的に見て、このまま放っては帰れないと陽菜は思った。
連れて帰ろう・・・でも・・・ でも陽菜の父親、慶彦は動物アレルギーで
猫はおろか犬も、はりねずみもダメだった。
だから子猫を連れて帰るなんてとんでもない話なのだ。
アレルギーは多少なりにも慶彦ほどではないが陽菜にも遺伝していた。
陽菜にはその猫の種類までは分からなかったが・・・ 短毛じゃなかったので
洋猫じゃないかと思った。
ここで陽菜は自分がこの猫を連れて帰らなくても誰か親切な人が
拾って帰ってくれるだろうって想像よりも・・・
この猫は誰にも拾われずにお腹を空かせたまま保健所の人に連れて行かれて
殺処分される・・・
ってほうを想像してしまった。
なんでもいい、とにかく連れて帰ろう・・・。
陽菜の家は父親がパン屋さんをしていて店でパンを焼いて店舗販売していた。
そしてお店の裏側にこじんまりと住居があった。
陽菜はお店を覗いたが、誰も店番をしてないのを確かめて店の横を通って
裏の家の勝手口に回った。
「ただいま・・・」
家には誰もいないと思っていたら・・・
「お帰り」・・・台所から、母親の声がした。
でも、陽菜がなかなか玄関から部屋に入ってこないので、 どうしたのかと
麻美さんが玄関まで出てきた。
麻美さんは上目遣いで自分を見てる陽菜を見て
「どうしたの、何突っ立ってるの」
「お母さんいたの?」
「それより、なに?・・・なに後ろに隠してるの?」
そう言われて陽菜は背中に隠していた段ボールをそっと麻美さんに見せた。
段ボールの中を見た麻美さんは、
「まあ」
って驚いた。
「そ、それそれ猫じゃない」
「公園のベンチに捨てられてた・・・ほうっておけなくて・・・」
「そんなこと言ったって、あなた、お父さん動物ダメなの知ってるでしょ」
「だって、連れて帰ってきちゃったもん」
「困ったわね・・・」
「そんな可愛すぎる猫ちゃん、捨ててきなさいってお母さん言えない・・・」
「まあ、お父さんもアレルギーってだけで動物は嫌いじゃないからね」
「しかたないわね、じゃ〜あなたが責任持ってあなたの部屋でちゃんと
面倒見るなら飼ってもいいけど・・・」
「ほんと、ありがとう・・・大事に育てるから・・・」
「お母さん大好き」
陽菜に拾われた猫は桜井家のおかげで野良にならずにすんだ。
ここまでは、誰でも子供の頃に経験したことがあるシーン。
お店から帰ってきた慶彦さんの意見願望は母娘の前では通らなかかった。
もちろん陽菜はその夜、子猫と一緒に寝た。
陽菜は不思議とアレルギーも蕁麻疹もでなかった。
次の日の夕方、ご近所の猫好きおばさんに子猫の種類を聞きに行くと
おばさんの見立てでは子猫の種類は「ラグドール」 だと教えてくれた。
「ラグドール」
って明日香にはあまり聞き覚えのない猫の種類のようだった。
そこで陽菜はパソコンでラグドールって猫のの種類を検索してみた。
ラグドールはアメリカ原産で「ぬいぐるみ」という意味があり、 抱っこ
されることが大好きでおっとりとした性格の子が多いと書いてあった。
大型種ならではの特徴で、4年ほどかけてゆっくり成長するそうだ。
ふわふわの長毛と薄いブルーの瞳を持っていて、とても穏やかで、ちょっぴり
鈍感な一面もあるそう。
どういう、いきさつでこの子が捨てられたのかは不明。
陽菜は子猫にも名前が必要だろうと、その猫に「ハル」と名付けた。
春の暖かい日に、この子を見つけたのが一番の理由。
それに男の子だと分かったから・・・。
でも「ハル」と名付けられたその猫は、実はただの猫ではなかったのです。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます